スイーツが学問になる!?何ともおいしそうですが、本当です。
経営学部の西村順二教授は、洋菓子店という製造小売業に着目して業態研究を進め、ゼミでは学生たちとスイーツのマーケティング分析を実施。また、人気洋菓子店「御影髙杉」とコラボレーションするなど、甲南大学では、スイーツを研究題材として地域を盛り上げようという「神戸スイーツ」の研究プロジェクトが進んでいます。
神戸にはずっと昔から
洋風文化があり洋菓子も
広く愛されてきました。
神戸といえば灘の酒に真珠、アパレル、ケミカルシューズ、そしてスイーツ!…ですが、なぜスイーツなのでしょう。甲南大学に協力してくださっている「御影髙杉」の髙杉良和シェフによると、「神戸は昔から外国の方も多く、洋風の食や文化に深く親しんできた地域です。
菓子職人の世界では『神戸で成功すれば全国どこでも通用する』といわれていました」とのこと。シェフご自身も洋風文化の根づいた地域で実力を試したいと、神戸の中でもあえて閑静な場所に店を出されたそうです。
そうした土壌があるからますます店が集まるのでしょうか。西村教授も、神戸には小さな住宅街にまで驚くほどスイーツ店があると語ります。
「それほど人口の多くない小さな商圏なのに、ビジネスが成り立っている。スイーツ店という製造小売業の成長戦略は、学問としても興味深いものなんです。」
スイーツはみんなを
HAPPYにする!
甲南大学限定スイーツ
甲南大学はずっと神戸・東灘区を基盤にしている大学です。同様に地元にこだわる「御影髙杉」にシンパシーを感じ、プレミア・プロジェクトの一環として大学限定スイーツの制作を依頼しました。すると、髙杉シェフは地域貢献の一つと考えられてご快諾。スクールカラーをモチーフに、見た目にも味にもインパクトのあるフランボワーズを用いた「ガトーフランボワーゼ」を考案してくださいました。この限定スイーツは、オープンキャンパスや公開講座でプレゼントするなど、多くの方にお召し上がりいただいています。
また2014年度から、卒業生に対して卒業式限定の「スヴニール」を贈っています。こちらも髙杉シェフ考案の完全オリジナルスイーツ。西村教授によると今年の卒業式では、この卒業式限定スイーツを通じ、学部や学年を超えて卒業を祝う企画が進行中です。大学全体が一つになって卒業をお祝いする、それも甲南らしさといえます。「他では売っていない特別なものだからこそ、何かの折に地域や大学を思い出してもらえるのでは」と、髙杉シェフ。甘酸っぱい味わいと後輩たちの言葉は、大学生活の思い出とともに、心に残るに違いありません。
どんなお菓子を、誰に、どの様に売る?
どんな夢を届けるかみんなで考えたい。
記念日や誕生日、ちょっと嬉しいことがあった日、がんばった自分へのご褒美に。スイーツは、人を笑顔にしてくれるもの。そんなスイーツを研究材料にするのは間違いなく楽しいはず。2015年度後期から、西村ゼミでは「菓子工房ビバンチェ」に協力を依頼し、甲南オリジナルスイーツ作りを始めました。市場調査からコンセプト立案、レシピ開発、コミュニケーション戦略などすべてを学生たちが担当。完成したスイーツは甲南大学内で販売することも検討されています。もしかするとインターネットで販売するかもしれません。さらに、東灘区のスイーツ店を学生たちと調査し、研究成果として出版やスイーツ学会での学生研究報告などを検討中です。もしも出版となれば、タイトルは『スイーツなマーケティング論 東灘スイーツ物語』。まずは東灘区から始め、他の区に広げていく可能性も。