「神戸スイーツ」で地域を活性化しようという研究プロジェクトで話題を呼んだ甲南大学のスイーツプロジェクトが、いま、新たな展開を迎えようとしている。経営学部西村ゼミの学生たちが、全国の百貨店を中心に70店舗以上を展開するワッフルケーキ専門店R.L(エール・エル)と協力して新しいワッフルを製品開発するというのだ。もしも企画が採用されれば、自分たちのアイデアから誕生したスイーツが日本全国へ!そんな大きな夢に向かい、西村ゼミのチャレンジがスタートした。
まずエール・エル側から出されたテーマは20~30代の若者層にアピールできる「新機軸の商品開発(ワッフル)」。このオリエンテーションを受けて、西村ゼミではさっそく市場調査を開始。最終的な提案にあたってはゼミ生を複数のチームにわけて、それぞれのアイデアごとにプレゼンテーションすることになる。つまり自分の提案が採用されるには、まず他のチームに勝たないといけない。「当初から最大のライバルは3年生だと思っていました」と2年生の植村涼太さんは語る。
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西村ゼミの3年生といえば、中小企業の問題解決をテーマにした大学対抗のプレゼン大会「Mラボ」でグランプリを獲得するなどまさに歴戦の強者たち。就職活動などで忙しい時期ながら、仲間たちがサポートしあいながら着実にマーケティングデータの収集・分析などをおこなっていく。これまでの豊富な経験から、その作業ぶりはまさに順調そのものだ。3年生の渡辺大樹さんは「むしろ2年生のお手本になれば良いと思っています」と、後輩たちのライバル視を意に介することなくまさに“横綱相撲”の貫禄さえみせた。
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スイーツの市場動向からターゲット層の生活スタイルまで、さまざまなデータをにらみながら西村ゼミ生たちは、それぞれに新しいワッフルの構想を練り上げる。その主な活動場所となったのは岡本キャンパス5号館にあるサイバーライブラリだ。ホワイトボードのあるプレゼンテーションエリアなどグループワークに適した環境を春休みなどの長期休暇期間でも利用でき、チームでのミーティングにもってこい。「スイーツだけに女子の意見は新鮮でした。インスタグラムに投稿したくなるよう見た目もこだわりたいとか、男子にはない視点がありました」と植村さんはここでの熱の入った議論を振り返る。

いよいよ中間発表まで1ヶ月をきり、当日のプレゼンテーションに向けたパワーポイントでのスライド資料作成がスタートする。自分たちの考えたアイデアを、いかにわかりやすく、いかに印象的に訴求するか。そのために植村さんは「過去の3年生のプレゼン資料も研究して参考にしました」と明かす。一方で渡辺さんは「ミーティングには来られるメンバーだけが集まって、あとからLINEなどで進行状況を情報共有していました」とSNSも活用してのスムーズで効率的な活動ぶりを強調。限られた時間のなかで、それぞれがベストを尽くしてプランを練り上げたようだ。
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そして2月15日の中間発表。西村教授やエール・エル担当者が並ぶ前でプレゼンテーションをおこなった3年生と2年生は、一体何を感じたのか。「まだアイデア先行な部分があって、もっとエビデンスを積みかさねていく必要がありますね。気をひきしめて一歩ずついきます」と、まだ納得いっていない様子の渡辺さん。それに対して植村さんは「やっぱり3年生はすごい。データの見方とかストーリーの展開とか」と、まだ超えられない差があることを実感したようだ。「でもまだ時間があります。あこがれの先輩たちだからこそ、絶対に勝ちにいきます」。5月に予定されている最終提案に向けて、新たなスイーツプロジェクトはさらにヒートアップしていく。
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- 西村
- 今回は、池田泉州銀行さんの紹介をきっかけに新商品開発の機会をいただきありがとうございます。
- 乾
- エール・エルとしても、20~30代消費者を取り込むための商品開発というのは市場データを見ても大きな課題でした。こちらこそ願ってもないチャンスをいただいたと思っています。
- 西村
- われわれのゼミでは、これまでもさまざまな学生企画を企業に提案していますが、まだまだ「どうせ学生のやること」という意識が強いんですね。今回はおたがいの信頼関係がしっかりと築けたうえでのプロジェクトとして期待しています。
- 乾
- 今日の中間発表でも、とくに3年生の提案は、予想以上。すでに即戦力レベルですよ。
- 西村
- 年生はこれまでも大学内外のコンペ大会で実績を残していますからね。それでも、今日の中間発表ではせいぜい1/3程度しか企画としての作業は進んでいない感じです。
- 乾
- プロジェクトとしては5月の最終提案で一区切りですが、できればその後もいっしょに協力関係を続けていければと思っています。ぜひ商品化という形にしていきたい。今日は、そう思えるだけの手応えがありました。
- 西村
- これから良い協力関係が続けていけるよう、学生たちもまだまだがんばると思いますのでよろしくお願いします。
池田泉州銀行は、阪神間の地域活性化に貢献するため、甲南大学と「産学連携に関する連携協力協定」を締結しています。