「宇宙ってどうなっているのだろう?」という疑問を小学生の頃に抱いてから、宇宙開発の分野に進むことはずっと夢だったんです。宇宙の謎はまだ5%しか解明されていないと言われていますが、ならば残り95%を少しでも自分の力で解明したいなと。また、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の存在を知ってからは、環境問題に興味を持っていたこともあって、いつかはこの問題を解決するような仕事に就きたいとも考えていました。いま、そんな夢がまさにかなったこと、高校時代に見学で訪れて以来ずっと憧れていたJAXAの一員になれたことがほんとうに嬉しいんです。
甲南大学に入学した最大の理由は、やはり宇宙関連を学びたかったからです。受験時にいろいろと調べたところ、理工学部の屋上に12台の電波望遠鏡アレイが設置されているなど甲南大学は宇宙分野に強い大学なんです。あとは、高校時代に全国大会まで進んだ弓道をもっと究めたかったこともあり、弓道部の強い甲南大学に魅力を感じたというのもあります。だから入学後は研究と部活、その両方を夢中になってがんばりました。
いまとなっては少し残念なことにアルバイトの経験さえないんですよ。けれど弓道でも念願の日本一になれましたし、すごく充実した4年間を過ごせました。
3年次からは、宇宙粒子を専門にしている山本常夏教授の研究室に所属しました。畑違いのスペースデブリ研究を快諾してくださるなど、甲南大学らしいほんとうに自由な雰囲気の研究室でしたね。それでいて、部活との両立を支えてくれたり、はやぶさ2の地球スイングバイ観測にみんなで協力してくれたり、すごくアットホーム。また、甲南大学のキャンパスは適度な大きさですし理工学部は少人数なので、先生や学生との距離が近いんですよ。先生方は学生一人ひとりをしっかり見てくれますし、さまざまな研究室の人が利用する休憩室での会話さえ刺激になる。そんな恵まれた環境なんです。
就職先は宇宙関連と決めていたので、とにかく求人情報を見逃さないよう細かくチェックしていました。面接にあたって具体的な指導を受けるなど、キャリアセンターにはほんとうにお世話になりましたね。あと私が所属していた理工学部物理学科では3年次後期から卒業研究につながる研究がスタートするのですが、これも就職活動では大きなアドバンテージになったと思います。他大学の学生は卒業研究を始めたばかりの段階なのに、私たちはある程度まで進んでいるので、面接で研究内容を具体的にアピールできるわけです。憧れのJAXAに入社できたのもこうしたサポートのおかげですし、まさに悔いのない大学生活でした。
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宇宙粒子研究室では電波、光、放射線や流星など、宇宙から届く様々なメッセージを高精度で測定するため、国内外の研究機関と協力し検出器の開発と観測を行っています。
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世界の研究機関を評価するNature Index 2016において甲南大学は国内私立大学で7位にランキングされました。2011年以降でも『Nature』誌に4編、『Science』誌に2編の論文が掲載されています。
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理工学部には自主的な学修を支援する場所として2ヵ所の学修支援室があり、専門的な学術雑誌の貸し出しや、学生の要望に応じた学修の個別指導なども行っています。
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2016年9月にオープンしたサイエンス・ラーニングコモンズでは、学科や研究室の枠をこえて最先端研究の成果や方法を体験し、実践的に科学する力を養います。