<Visit! OBOG>第2弾のキーワードは「グローカル」。GlobalとLocalを組み合わせたこの言葉は、学部の垣根を越えて「融合型グローバル教育」や「地域連携」を実践する、甲南大学での学びを象徴する言葉でもあります。これからのグローバル社会において、国際的な視野をもちながら地域社会・企業の魅力や個性を発信できる人物教育をめざしています。世界から地域を、地域から世界を見つめる。そんなグローカルな感覚をもって社会で活躍している甲南卒業生をご紹介しましょう。
カモ井加工紙株式会社とは?
1923年にハエトリ紙の製造会社として岡山県倉敷市で創業。当時から東南アジアやアメリカへの輸出をおこなう。1960年代には紙粘着テープや自動車関連商材として和紙粘着テープの製造を開始。その後も梱包用や建築用、塗料用など、工業向けに多彩な素材の粘着テープを開発しつづける。そして2008年、文具・雑貨向けマスキングテープ「mt」を発売。幅広い世代や用途で愛用され、今年で「mt」発売10周年を迎える。
岡山から神戸に出てきて一人暮らしをはじめた入学当初、環境の変化についていけずに精神的につらい時期がありました。そんなときにボランティア活動に誘ってわたしを元気づけてくれたのが大学の友人たちでした。卒業後に岡山へ戻ったときも、岡山甲南会(現地同窓会)などで出会った卒業生の方々が、ビジネスの支えとなることもありました。こうした人との絆の大切さを教えてくれたのが甲南大学です。
甲南大学を卒業後は、学生時代にアルバイトでためた資金をもとにアメリカへ留学。コミュニティカレッジで2年間学んだ後、ワシントン大学で経済学を1年間学びました。留学をしたのは、社会へ出る前にグローバルな視点をもてるようになりたかったからです。帰国後は東京の企業に就職しましたが、30歳のときにカモ井加工紙(株)に入社。父の跡を継いで、40歳のときに現職の代表取締役社長に就任しました。
東京のカフェオーナーを中心とした3人の女性から「カラフルなマスキングテープがほしい」との問い合わせを受けたのは10年ほど前です。ラッピングやアートづくりに利用するために、もっと色のバリエーションがほしいと。どこの会社にも断られたそうですが、工業用マスキングテープは少品種大量生産の典型でしたから無理もない話です。ただ、問題解決型ビジネスが当社の鍵になると考えていたこともあり、多品種少量生産となることを覚悟して依頼を受けることにしました。そして一年がかりで開発したのが、マスキングテープの新ブランド「mt」です。大型雑貨店等での販売をきっかけに口コミなどで注目を集め、急成長を遂げる事業となりました。
今後の目標は「mt」をインターナショナルブランドに育てあげることです。日本国内のみならず、世界各国でエキシビションの開催や国際展示会への出展も積極的におこなっています。「mt」を商品として販売するだけではなく、こうした活動も評価され、世界中でさまざまな賞を受賞してきました。これも高い志をもって励んでくれる社員たちのおかげです。彼らとともに、これからも岡山から世界に向けて情報発信できる企業をめざしていきます。