みなさん、こんにちは。甲南大学 知能情報学部3回生の井上 星哉(いのうえ せいや)です。今回は、私がいま、夢中になっている研究分野について、お話ししたいと思います。理系の大学を目指していて、人工知能や情報処理技術に興味がある!という人に読んでもらえると、参考になるんじゃないかなと思います。
大学で出会った「自然言語処理」に夢中。地味だけど面白い。
私がいま、夢中になっているのは「自然言語処理(NLP)」という分野です。身近な例でいうと、Google検索のような検索エンジンに使われている技術が代表的。簡単に言うと、「日本語や英語といった人間が使っている言語をコンピューターに理解させて処理させる技術」です。
甲南大学というと「漫才ロボット」のAIによる台本自動生成が有名ですが、ほかにも、有名な百科事典サイトの一部に甲南大学で開発した技術が使われたりしているそうで、実は知られていないだけなんです。探せばいくらでも出てくるほど、甲南大学ではこの「自然言語処理」技術の研究が盛んです。
私がこの「自然言語処理」に出会ったのは、大学に入ってから。ロボット開発などに比べると、「自然言語処理」分野というのは、目に見える技術じゃないため、裏方的で、地味。でも、これから先はそういう裏方的な技術こそ重要になってくると思うし、なによりも、やってみると面白くて。
実は、アルバイトでもこの「自然言語処理」に関わっています。たまたま、授業で先生に、研究室にアルバイトに来てみないかと誘われて、働かせてもらうことにしたんです。その関係で、自然言語処理学会にも行かせてもらって、そこで実際に「自然言語処理」を使用している企業の方とお話しすることもできました。
プロジェクトを成功に導くチームワークのあり方を学ぶ。
知能情報学部ではほかにも、VR作品の開発をチームで行うプロジェクト演習で、チームワークを学びました。
私のチームは、隠れているものを探すゲームを制作することにしたのですが、トンネルの中に入ったらブラックアウトするというような細かい仕様を、一からみんなで考えなければならなくて、結構、大変でした。私はリーダーを務めていたので、自分の作業をこなすだけじゃなく、チーム員それぞれのキャパシティを考えて作業分担を計画。キャパシティを超える作業量を割り振って、やる気がなくなってしまわないように、注意しながらプロジェクトを引っ張っていくという経験をしました。
実は1回生のときに、ほかの学部の人たちと一緒に作業する機会があったんですが、そのときにも、リーダーを務めていて、みんなの意見がかみ合わなくて苦労したんです。それで、プロジェクト演習では、その教訓を生かしてチームを運営することに注力。がんばったぶん、達成感を得ることができたと思います。
社会に出てから、プロジェクトを成功に導くためには、チーム内のコミュニケーションが欠かせません。開発技術だけじゃなくて、チームをまとめるという勉強も、今後の自分の課題だと思っています。
大学をどう選ぶか、自分なりの考えがありました。
そもそも、なぜ、甲南大学の知能情報学部に進学を決めたかというと、それは、ロボットに興味があったからです。それに、知能情報学部なら、人工知能を取り扱っていて自分の学びたいとこが学べると思いました。中規模で、先生との距離が近く、ほかの学部との交流もはかれるところにも惹かれました。 なにより、甲南大学は家からも近いですし(笑)
実は、高校時代にとても知識が豊富な先生がいらっしゃったんですが、あまりに豊富すぎたせいか、逆に話が理解できなくて困ってしまった経験があって。それで、実力よりも上の大学を狙うのもいいけど、自分にあっていて、自分がやりたいことができる大学の方がいいんじゃないかと思うようになったんです。
気持ちは大学院への進学。でも、まだ、やることがいっぱい。
卒業後の進路は、まだ、はっきり決めているわけではないですが、就職よりも大学院に気持ちが傾いています。理由はやっぱり、もう少し勉強したいから。もちろん、大学院を卒業した方が、給料がよくなるっていうのもありますけど(笑)
でも、大学院の学費のこともありますし、両親と相談して、決めようと思っています。
そして将来、Internet of Things(モノのインターネット)といって、物理的なモノがすべてコンピューターで動く社会になっていくとき、人間の感情と先端技術のバランスがとれた社会の実現を考えながら仕事ができるといいなと思っています。
ただ、進路や将来を考える前に、3回生になった今年は、人工知能のモデルをつくるプロジェクトに取り組まなければならないし、所属する研究室を決めたり、卒論のテーマを模索したりもしなければなりません。 個人的には、「画像認識」の勉強もしたいし、最先端技術についての記事や論文は、英語で読まなければならないため、英語学習も必要。やりたいことや、やらなければならないことが、まだまだいっぱいです。
<編集後記>
情熱的なのに落ち着いた感じの井上さん。大学選びの段階で、高校生とは思えないほど自己分析ができていたのには驚きです。そんな井上さんが、大学に入って驚いたのが、予想以上に数学をバリバリ使うこと。高校時代は何のために数学なんて勉強しているのか?と疑問に思っていたそうですが、大学では、「人工知能を学ぶために必要だから数学を勉強する。使える数学だから楽しい」と微笑みながら話してくれました。 井上さんのお話を読んで、自分にも当てはまるなぁとか、共感できるなぁと思ったら、ぜひ、一度、甲南大学 知能情報学部のホームページをご覧ください。