ロボットが宿題を手伝ってくれたり、恋愛相談に乗ってくれたり。かつては小説や映画の中だけの夢物語だったことが、今、少しずつ現実のものに。当たり前のようにロボットと暮らす未来が、すぐ目の前に来ているのかもしれません。
甲南大学の知能情報学部ではプレミア・プロジェクトの一環として、人をサポートしたり、生活を楽しくするさまざまなロボットを開発。「ロボットの甲南」のすごさを感じてください。
甲南大学の図書館ではかわいいロボットがお出迎えしてくれます。
彼は、田中研究室と和田研究室が共同で開発を進めている案内ロボット「KoRo」。
図書館の利用案内のほか、オープンキャンパスの際にはキャンパス内を動いて道案内もする優れものです。
実は、自分の位置や姿勢を自ら把握するのはロボットには難しいことでした。位置を知る方法として真っ先にGPSを思い浮かべると思いますが、GPSの精度はそれほど高くありません。キャンパス内でも5、6mもの誤差が出るとか。
そこで、「KoRo」にはキネクトセンサーやレーザーセンサーなどを搭載。自分で周りの状況を把握し、人や障害物を回避して自律移動できるようになっています。「KoRo」がバランスを取りながら動く姿はとてもキュート。それだけでも楽しいのですが、さらに人を喜ばせるさまざまな機能が組み込まれています。
先生と院生・学部生がチームで挑戦中!
例えば、「KoRo」は人と対話することができ、計算ゲームなどで人を楽しませるのも得意。動作や対話内容に合わせて耳やしっぽ、舌の動き、目の表情を変えるなど、感情表現も豊かです。かわいく「来てくれてありがとう!」と話していたと思えば、突然低い声で「電話番号教えて~」と呻くブラックKoRoが出現することも。
これらの機能をプログラミングするのは院生と学部生たち。RTミドルウェアを用いて一人ひとりが各自の担当部分を作るのですが、先輩から教えてもらったり仲間で助け合いながら最終的にひとつのものとして完成させていきます。「機能は無限に作れます。いろいろな機能を増やし、もっと活躍できるロボットをめざします」と、田中雅博教授。
「KoRo」は、普段は図書館入り口にいるのでぜひ会いに来てください。
「思い通りにいかないのがストレスでもあり、面白さでもある」というロボット開発。完成した時の喜びは格別ですが、自分たちの作ったロボットを誰かに見てもらうのも大切です。甲南大学では、キャンパス内や学会で発表するだけでなく、一般の人たちにアピールする機会も設けています。
伝える力を身につける。
誰にでもわかりやすく説明するのは意外と難しく、こうした機会がいい訓練となって就職活動に役立ったという例も。チーム作業によって協調性を磨き、さらに、学会や展示会でプレゼンテーション力を修得する。ロボット開発を通して、さまざまな力を養うことができるのです。
「ロボットの甲南」メディアで話題の漫才ロボット、図書館司書ロボットなど研究開発はさらに進む
そのほかにも「ロボット学びプロジェクト」では、いくつかのプロジェクトが進行中です。「漫才ロボット」は、2体のロボットがその場でもらったお題に合わせて即興漫才を演じるという驚きのロボット。インターネットからさまざまな知識を集め、ロボットが自ら台本を作るのです。また、「図書館司書ロボット」は、人と見分けがつかないほどのアンドロイド(人型)ロボット。図書館カウンターで簡単な応対を行い、本格的な質問については司書に取り次ぐことができます。その他、イベントの際に来場者の出入りの細かい情報を自動で検出し記憶するカウンターや、文章の添削・提案をしてくれる英文ライティング学習支援システム、共同学習の場であるラーニングコモンズの利用人数や場所などを自動的に検知しログをとるビューアーなど、有形・無形の魅力的なロボット研究が多数。