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コロナ禍で「甲南大学文学部での学び」について考え、動画で語ってみる―文学部共通科目「横断演習Ⅱ」―
2021年2月19日(金) 文学部新着情報 新型コロナウイルス感染症の拡大により、「大学での学びとは何か」という問いが教員・学生双方に突きつけられた2020年度でした。本学でも、前期はWebを活用した授業が中心となりました。後期は、最初の3週間は原則としてWebを活用した授業を実施し、その後は、キャンパスに滞在する学生の人数の上限を定めた調整の結果、対面授業とWebを活用した授業が並行して実施されることになりました(1月の緊急事態宣言発令後は再度Webを活用した授業を実施)。一日に対面の授業科目、Webを活用した授業科目の両方を受講するために、学生は自分のノートパソコンを大学に持参する必要があり、大変でした。
教員として一番困ったのは、パソコンを使い、グループワークを中心とする実習科目をオンラインでどのように成立させるかという問題でした。
文学部では「ぶんたすプロジェクト」(KONANプレミア・プロジェクトのスマートラーニングプロジェクトに参加)が進行中ですが、サブプロジェクトの「『KONAN文学部ストーリーテリング』の制作と発信」を今年度から文学部共通科目「横断演習Ⅱ」として開講しました。専門科目は同じ学科に所属する人たちが受講することが多いのですが、この科目は、文学部の5学科(日本語日本文学科、英語英米文学科、社会学科、人間科学科、歴史文化学科)の学生が履修できる科目です。学科の垣根を越えて、「文学部で何を学ぶのか」をディスカッションし、グループで「文学部での学び」を語る動画を、大学のパソコン実習室を使って完成させる予定にしていました。2020年9月7日から10日までの集中講義科目として開講予定でしたが、対面でのグループワークとパソコン実習室を使った授業形態は、新型コロナウイルス感染症罹患のリスクがあると判断し、オンライン授業に切り替えることにしました。ただ、17人の履修者のうち1年生が16人であり、前期は全ての講義がオンラインでキャンパスに来る機会がなかったことを踏まえ、2日目の午後の授業だけを対面で実施することにしました。
「横断演習Ⅱ」の初日は、動画制作をする上での著作権の問題などを中心に扱った動画配信による授業に加え、Zoomを使ったリアルタイムでのオンライン授業も行いました。
また、お互いの自己紹介をPowerPointで作成し、Microsoftの提供するOffice 365のTeamsを使って共有しました。グループで動画制作をするのは断念し、各自が自分のパソコンで使える動画編集ソフトで「甲南大学文学部での学び」をテーマとしたデジタル・ストーリーテリング作品を作ることになりました。2日目午後に対面でお互いに顔を合わせたり、Zoomのブレイクアウトルームで意見交換をすることにより、各自が動画で語る内容が固まっていきました。4日目の最後には、完成した作品をZoomで共有し、感想を述べ合う「上映会」を開催することができました。
1年生にとっては、「甲南大学文学部での学び」は、前期のオンラインでの経験しかなく、なかなか語るのが難しいところもあったようですが、入学前にイメージしていた学びと実際の学びの内容を比較する作品や、将来の目標と現在の学びをつなげる作品があり、しっかりと今後の学びを見据えているということがわかりました。自分の写真、2日目の対面授業時に撮影した甲南大学の風景写真に加え、オンラインで探してきたフリー素材も使って視覚的にも工夫されたものが多かったのが印象的でした。以下、一部ですが、作品を紹介します。
日本語日本文学科1年生 成田亮平「過去と今、そして、これから」
社会学科1年生 永田 陸「社会学に興味を持ったキッカケ」
社会学科1年生 仲尾次未彩「私の転機」
英語英米文学科1年生 佐村有梨沙「経験が変えてくれたもの」
歴史文化学科1年生 田代望恵「大学生になるまで」
コロナ禍でのオンラインによる動画制作の授業という、学生・教員の双方にとって難しいミッションでしたが、Teamsでの情報共有など、対面授業にも活かせるものがあり、今後につながるものだったと考えています。
(文学部社会学科教授 松川恭子)