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地域防災の現状を探る ~徳島市にてフィールドワークを実施しました
2024年8月29日(木) 地域連携新着情報 お知らせの一覧 SDGs達成を目指して地域の社会課題の解決を探る「関西湾岸SDGsチャレンジ」にて、2024年8月21日~22日に徳島市にてフィールドワーク(現地調査)に取り組みました。徳島市における地域防災の現状を探ることを目的に、甲南大生の2年生4名と、徳島市立高校2年生4名の計8名でチームを組んで、朝日新聞社の記者メンターにも同行いただき、徳島市の防災関係者にインタビュー調査を実施しました。
徳島市危機管理局の危機管理課および防災対策課の皆様に、徳島市の災害リスクや重点的な施策、現在の課題認識についてお話を伺いました。現在は毎年2区ずつ総合防災訓練に力を入れて取り組んでおり、住民や自主防災組織、企業や学校関係者など400名程度の参加が得られるようになっているそうです。しかし徳島市を襲った規模の大きい近年の災害は、1961(昭和36)年の第二室戸台風や、2004(平成16)年の台風23号であり、防災対策課課長補佐の植町哲也(うえまち・てつや)さんは、「住民の皆さんは災害に高い関心を寄せているものの、災害の記憶の継承には課題がある」と指摘します。また、直近の南海トラフ地震臨時情報の対応として、「多くの人が徳島に訪れる阿波おどりの時期に重なったが、事前に準備してきた観光客の避難計画を生かすことができた」と危機管理課係長の只安敬子(ただやす・けいこ)さんは振り返ります。
また、全国に移動販売事業を展開し、地域住民の防災活動や見守活動にも一役買っているという株式会社とくし丸の取締役ファウンダーである住友達也(すみとも・てつや)さんに、甲南大生や徳島市立高校生が同業他社との違いをたずねたところ、「わが社は、見守り活動をビジネスにするつもりはありません。対面を旨とし、お客様との人間関係を丁寧に築く移動販売の事業パートナーの関わり方が結果的に見守り機能を果たしており、しかもシステムとして機能していることが大きな特徴です」との回答を得ました。さらに、事業パートナーによる移動販売車での販売活動にも同行し、一軒一軒お客様に商品を届けたり、地域住民の皆さんと丁寧に対話しながら接客されたりする様子を見学しました。販売員のなかには「そろそろお酢が切れる頃でしょうか」とお客様に声掛けができるほど、一人ひとりのお客様の状態を把握している人もいるそうです。これほどの地域の信頼関係があるからこそ、買い物だけでなく、見守りや防災活動など、お客様を総合的にサポートできる体制を築いていることを学びました。
字数の関係で全てをご紹介できませんが、ほかにも大学生や高校生、中学生が中心となって地域の防災活動に主体的に取り組んでいる津田新浜防災学習倶楽部部長の戎井光来(えびすい・みらい)さんや、母親の視点を生かした防災士グループとしてユニークな防災活動を実践しているママ防災士の会Switch(スイッチ)代表の瀬戸恵深(せと・めぐみ)さんにも、現在の取り組みの状況や地域防災の課題を伺いました。
今後は、インタビュー調査の結果をふまえて、さらなる文献調査や議論等を重ね、現在の地域防災に必要な視点の提示を試みます。成果報告会は、2024年11月17日(日)に甲南大学にて実施予定です。オンライン開催も予定していますので、ご関心のある方は、ぜひご参加ください。
文・全学教育推進機構 全学共通教育センター
特任准教授 岡村こず恵
<参加学生>
瀧川 真由 (甲南大学 法学部 2年次生)
神吉 理沙 (甲南大学 法学部 2年次生)
若槻 航太 (甲南大学 経済学部 2年次生)
中川 彩優香 (甲南大学 マネジメント創造学部 2年次生)
石井 宏樹(徳島市立高等学校 2年生)
中野 葉月 (徳島市立高等学校 2年生)
風尾 沙良 (徳島市立高等学校 2年生)
五島 武蔵 (徳島市立高等学校 2年生)
指導教員:全学教育推進機構 全学共通教育センター
特任准教授 岡村 こず恵