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    キャリア形成のイメージを変える ~とっとりキャリア教育学生プロジェクト

    2024年3月04日(月) 地域連携新着情報 お知らせの一覧

    【図1】「とっとりキャリア教育学生プロジェクト」参加メンバー


     自身のキャリア形成のイメージ化ができるようになることをめざす「とっとりキャリア教育学生プロジェクト」【図1】。前回は、様々なキャリア形成のあり方について調べるインタビュー調査について、ご紹介しました(「多様なキャリア形成を調査する」をご覧ください)。また、インタビュー原稿は、鳥取県移住定住ポータルサイト「鳥取来楽暮(とっとりこらぼ)」の「移住関係者のキャリアの重ね方」コーナーに掲載されています。
     さて、今回は、フィールドワーク(現地調査)の結果を受けて、学生がどのように議論を進めたのかをご紹介します。まず、フィールドワークの結果を受けて、自分たちの学びやUIJターンを推進するアイデアを整理しました。「SNSを活用して、鳥取県の名産品を伝えては?」、「鳥取県出身の有名人によるプロモーション」、「エントリーシートを添削してもらえるサービスの実施」など、次々と意見が出され、メンバーは手ごたえを感じていました【図2】。


    【図2】カードを使って意見を整理


    ◆すぐに思いつくアイデアは、すでに実行されていた
     次に、これらの企画の実現性や有効性を検討するために、鳥取県関西本部の中尾大氏、ふるさと鳥取県定住機構の就職コーディネーターの植前健太郎氏より、鳥取県の定住・移住推進施策の現状と課題について、また、本学キャリアセンター職員の山崎哲史氏に、キャリアセンターとして取り組みやUIJターンの就職支援の課題についてお話を伺いました【図3】。お話を伺って驚きました。メンバーで出し合ったアイデアは、鳥取県でも甲南大学でもほぼすべて取り組まれていたのです。このことから、多様な取り組みが行われているにもかかわらず、自分たちのような学生に情報が十分に届いていないということが推測できました。そこで、改善点は、取り組みの量の不足ではなく、取り組み方や情報の伝え方にあるのではないかと仮説を立てました。


    ◆先行研究を調べる
     そこで、鳥取県在住の大学生が鳥取県内や地方都市での就職についてどのような意見をもっているについて調査した先行研究を調べたところ、県内や地方都市の企業について学ぶことができる環境を求めていることが指摘されていました。また、別の調査では、神戸市在住の大学生が就職活動を相談している相手として4割近くが同級生の友人知人を選んでいること、さらに就職の応募先を決める際には、勤務地以上に業種を最も重視していることなどが分かりました。さらに、甲南大学では業界ごとの就職セミナーや相談会は開催されていましたが、学生同士の交流の機会は少ないことも分かりました。


    【図3】ふるさと鳥取県定住機構の植前健太郎氏にお話を伺う


    ◆成果報告会にて
     これらのことをふまえて、成果報告会では、UIJターンを推進するアイデアとして、一つは鳥取大学と甲南大学の大学生がともに双方の地元企業について学ぶ交流を兼ねたツアー、もう一つは、甲南大学にて同じ業界を希望する学生が相談しながら業界や企業研究するイベントがメンバーより提案されました。鳥取県関西本部本部長の高務裕子氏からは「地元や地方都市の企業を他都市間で学ぶ企画と、学生同士が相談しやすい環境づくりについての提案であり、学生の皆さんが関心を持ちそうな企画だと感じました。一方で、仮説で指摘された『必要な情報をいかに学生のみなさんに届けるのか』ということも私たちは課題認識をもっています」との講評を受けました。検討の途中で取りこぼしてしまった課題について、的を射た指摘をいただきました【図4】。


    【図4】成果報告会でのプレゼンテーション


    ◆キラキラした成功事例ばかりでなく
     さらに、並行して、本プロジェクトに参加したメンバーより甲南大生に向けたメッセージとして学生座談会を実施しました。就職活動についての「不安で将来のこと考えるだけで頭がいっぱいになってしまって、どうすればいいのか分からない」、「インターンにどうやって参加すればいいか分からない」といった率直な不安から、本プロジェクトに参加して「都市は人が多くてしんどいけど、地方は人が少なくて過ごしやすいことがわかった」、「前職と関係のある仕事をたとえば地方で見つけて、これまでの経験を生かすことは、魅力のある転職の方法だと感じました」など、本プロジェクトを経てキャリア形成のイメージが変化したことが語られました。また、就職活動について「これからの人生を自分の手で見つけていける。自分が今までやってきたことが自分に返ってくるので、希望があります」、「このプロジェクトに参加して、勤務経験のある人と関わることが大事だと知りました」など、就職活動に前向きなイメージが醸成されたり、具体的な手段についての重要性が話されました【図5】。学生座談会の記事はこちらからお読みいただけます。ぜひ、ご一読ください。

    ▼「プロジェクトを終えて就職活動に対して感じること」

    文・甲南大学 全学教育推進機構 全学共通教育センター 
    特任准教授 岡村 こず恵


    【図5】甲南生への応援メッセージ企画として学生座談会を開催


    <プロジェクト参加メンバー>
    河合 新    (甲南大学 経済学部 経済学科 3年生)
    草加 有輝 (甲南大学 法学部法学科 3年生)
    福田 愛芽 (甲南大学 法学部 法学科 2年生)
    大村 梓紗 (甲南大学 法学部 法学科 2年生)
    柏原 江里 (甲南大学 法学部 法学科 2年生)
    福田 桃子 (甲南大学 経営学部 経営学科 2年生)
    横田 桜咲 (甲南大学 経営学部 経営学科 2年生)
    島村 大地 (甲南大学 フロンティアサイエンス学部 生命化学科 2年生)
    太田 若那 (甲南大学 経営学部 経営学科 1年生)
    野口 和史 (甲南大学 経営学部 経営学科 1年生)

    【指導教員】
    甲南大学 全学教育推進機構 全学共通教育センター 特任准教授 岡村 こず恵