新着情報
徳島市にてフィールドワーク(現地調査)を実施しました!
2023年9月01日(金) 地域連携新着情報 お知らせの一覧「関西湾岸SDGsチャレンジ」は、2030年のSDGs(持続可能な開発目標)達成をめざして、地域の困りごとを解決するための企画を地方自治体に提案するプロジェクト型学習であり、2018年度から甲南大学と朝日新聞社との共催で実施しています。徳島チームの今年のテーマは、「『徳島には阿波おどり以外、何もない』を考える」です。徳島では、「徳島には阿波おどり以外、何もない」という表現が、地元の住民を中心によく語られると聞きます。「こうした表現は、本当によく使われるのか」、「なぜこうした表現があるのか」。これらの謎を探るのは、甲南大学生4名と、徳島市立高校2年生4名の計8名による混成チームです。朝日新聞社の記者もメンターとして調査に同行します。
まず、徳島市の内藤佐和子市長に直接疑問をぶつけてみました。すると、「実は私も、高校生や大学生くらいのときは、『何もない』と言っていました」と率直な回答を得ました。しかし、その後、年齢を重ね、「徳島市は、暮らすにはとても良いまちだと気がつきました」。食べ物の美味しさや自然の豊かさ等はもちろん、大都市と比べてパーソナルスペースが広いことも、魅力に感じたといいます。SDGs達成のための課題はさまざまありますが、「特に若者には、多言語対応など情報発信にかかわってほしい」と期待を寄せているとのことです。
また、徳島市の特産品として名高い「藍染め」について、学び、体験しました。近年は、「Japan Blue」という呼び名で海外でも広く知られています。藍師と呼ばれる職人によって、藍草(あいそう)を発酵させて「すくも」という藍染の主原料がつくられます。特に徳島の藍は「阿波藍(あわあい)」と呼ばれ、自然素材や豊かな水資源のもとで育まれた文化に、今あらためて注目が集まっています。甲南大生や高校生は実際に藍染めを体験し、発酵の匂いや藍の色の深さを五感で体験しました。
他にも、次のような方々にインタビュー調査にご協力いただきました。
・「『なんもない』はずがないイーストとくしま」というキャッチーなパンフレットを制作
した一般社団法人イーストとくしま観光推進機構様
・海外から年間約200人ものボランティアを受け入れ、徳島市のみならず、徳島県内の市町村とも長期滞在ボランティア受け入れのネットワークを開拓する特定非営利活動法人眉山大学代表の長谷川普理(はせがわ・しんり)氏
・「いつもの仕事を、ちがう場所で」と、山深い徳島県神山町にて豊かな時間の流れのなかで働く人に宿を提供する「WEEK(ウィーク)神山」オーナーの神先岳史(かんざき・たけし)氏
・神山町という地域のなかで「テクノロジー・デザイン・起業家精神」について学べる「神山町まるごと高等専門学校」教員の鈴木佑奈(すずき・ゆうな)氏。約20年ぶりに日本で新設された高等専門学校で、その取り組みが全国的に注目を集めている。
いずれも、いま徳島にて、地域との関係を大切にしながら様々な社会問題の最前線で多様な活動に取り組む人々にインタビュー調査を実施することができました。そして、フィールドワークの締めくくりは、“水の都”と呼ばれる徳島市のシンボル「ひょうたん島クルーズ」に乗船し、徳島市内の豊かな水辺を味わいました。
これから甲南大生と徳島市立高校生のメンバーは、神戸市と徳島市にて主にオンラインを駆使して議論しながら、「徳島には何もない」という表現に一石を投じる企画を検討します。成果発表会は、2023年11月12日(日)に、甲南大学岡本キャンパス(神戸市)にて開催予定です。オンライン配信も予定しています。関心のある人は、ぜひ甲南大学学長室にお問い合わせください。
(全学教育推進機構 全学共通教育センター 特任准教授 岡村こず恵)