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    甲南大学×東京海上日動火災保険㈱×神戸市共催「『ぼうさい授業』~一人の犠牲者も出さないために~」

    2022年3月29日(火) 地域連携新着情報 共通教育お知らせの一覧

     2022年3月3日(木)、神戸市立魚崎中学校2年生を対象に、東京海上日動火災保険株式会社と甲南大学による「ぼうさい授業」を実施しました。本年度は、新型コロナウイルス感染防止対策のため神戸市立魚崎中学校にてオンラインと対面形式を併用しながら実施することとなりました。

     「ぼうさい授業」とは、東京海上日動火災保険株式会社が小学生を対象にして実施する自然災害についての知識を身につけることを目的とした社会貢献活動です。今回は、その授業の一部を甲南大学が担当し、授業を実施しました。東京海上日動火災保険株式会社に加え、神戸市の協力も得ながら、「~一人の犠牲者も出さないために~」というテーマのもと、自助と共助についての授業を行いました。

     授業企画をするにあたって、自分たちが災害や防災について知ることが大切です。そのため、まずは東京海上日動火災保険株式会社の方から「ぼうさい授業」の概要、神戸市の担当の方々からは神戸市での避難所運営について教えていただきました。また、メンバーで魚崎周辺のフィールドワークを行なったり、魚崎防災福祉コミュニティの方々に魚崎町での防災活動についてのお話を伺いました。

     授業企画の中間報告では、オンライン上で、東京海上日動火災保険株式会社の方々と神戸市の担当の方に、授業の目的やそれについての方針をプレゼンしました。そこで得たアドバイスや情報を元に、どのようにして中学生に「ぼうさい授業」を届けるかをメンバーと相談しながら授業の構成を考えていきました。そして試行錯誤を重ね、自助について学ぶ「魚崎中学校オリジナル防災ハンドブックと地図ワーク」、共助について学ぶ「要配慮者への支援を考える避難所体験ワーク」の2部構成型の授業を完成させました。



     「ぼうさい授業」の前半は、「魚崎中学校オリジナル防災ハンドブックと地図ワーク」を通して、主に自助について学ぶ授業を実施しました。初めに行った防災ハンドブック作成では、講義形式で、地震や津波発生時にするべきである適切な行動や、災害時に必要なものについて確認していきました。神戸市や東京海上日動火災保険株式会社、魚崎防災福祉コミュニティの方々からいただいた助言をもとにして、常日頃から準備してほしいことを掲載したハンドブック冊子を作成しました。
     
     地図ワークでは、避難時に危険と判断できそうな場所について考えるグループワークを行いました。実際に災害が起こった時のことを想像しやすくするために、地域のマップを使用してワークを行いました。ワークの最後に各班で出た意見に対して大学生が行ったフィードバックでは、地域についての詳細な情報が含まれた、その地域に住む生徒ならではの柔軟な発想が意見として出され、非常に有意義な発表時間となりました。



     授業の後半では、「要配慮者への支援を考える避難所体験ワーク」を行いました。ここでは主に共助について学習し、避難所における要配慮者の方々に対して、何ができるかをグループで考えました。初めに行ったのは、避難所生活の様子についての講義とクイズです。過去の地震に関するデータや自分たちが調査して得た知識を用いて、避難所が実際にどのような環境なのかを伝えました。神戸市や魚崎町防災福祉コミュニティの方々からいただいた情報を含めることで、より地域に根差した授業ができるように工夫しました。全てのクラスの生徒が真剣に授業を聞き、自らの知識にしようといった姿勢が見受けられました。
     
     その後に、「避難所体験ワーク」を行いました。避難所にやってくる要配慮者の方々がどのようなことに困り、そしてその方々に何ができるかをグループで考えるワークです。どの班もそれぞれの考えを共有し合い、学びを深める様子が見られました。また、最後に各テーマを担当した班の代表者が班で共有したアイデアを全体に発表してもらい、それに対して大学生がフィードバックを行いました。どの班も要配慮者の視点になって考えることができており、私たち大学生にとっても学ぶことの多い発表となりました。



     これで「ぼうさい授業」は終了となりましたが、最後に生徒の皆さんに授業を通しての振り返りシートを記入してもらいました。後でその振り返りシートを読んでいると、「自分たちが要配慮者にできることはたくさんあることがわかった」や、「共助も大切だがまずは自助が大切」といった感想が寄せられました。私たちが最も伝えたかった自助・共助の意識が中学生に届き、生徒の皆さんの防災意識が向上していることがわかりました。今回学んだ知識を実際に災害が起こった際に、自分の身を守り、他者を助ける力へと変えてほしいと思います。
     
     今回の「ぼうさい授業」を通して、私たちは防災知識を習得する大切さだけでなく、継承することの大切さについても学ぶことができました。これまでの学生生活でも防災に関する授業や講義を通して知識習得の機会は何度かありました。しかし、それを次世代に伝える機会はそこまで多くありませんでした。単なる知識の習得だけでなく、それを伝えていくことで減災に繋げる意識を持てたことは、この授業に参加して得た大きな学びです。

     この「ぼうさい授業」の成功には、多くの方々の支えがありました。東京海上日動火災保険株式会社や神戸市、魚崎町防災福祉コミュニティの方々には、授業を完成させる上での様々な情報やアドバイスをいただきました。神戸市立魚崎中学校の先生方には、前日準備や当日の進行にご協力いただきました。また、甲南大学地域連携センターの方々には授業を進めていくために必要なさまざまなサポートをしてくださいました。このような多くの方々の支えがあって成功に繋がったことに感謝し、今回の「ぼうさい授業」を通して、地域の防災意識を少しでも高めることができたのなら幸いです。

    (法学部1年次 木下聡一郎、経済学部3年次 田中亮太)

    【「ぼうさい授業」2021年度のメンバー】
    マネジメント創造学部4年次 丸谷里奈
    経済学部3年次 田中亮太
    マネジメント創造学部2年次 嶋村実緑
    文学部人間科学科2年次 髙谷あかね
    文学部社会学科2年次 日比野令旺
    文学部社会学科1年次 金城真悠
    法学部1年次 木下聡一郎
    指導教員:共通教育センター 教授 久保はるか