このたび、磁気センサシステムに関する私たちの研究活動が日本音声学会の学術研究奨励賞を受賞しました。磁気センサシステムは、発話中の舌や唇の動きを測ることができる装置です。舌や唇に小型センサを複数貼り付け、磁気を利用してそれらの位置をリアルタイムで計測することができます。
　下の写真は実験の様子です。話者の頭の横にある青い四角の装置は磁場を発生させる装置です。この磁場によって体の中にあるセンサの位置も知ることができるため、この装置は音声の研究にとって重要な役割を果たしています。例えば、日本語のさまざまな母音や子音を発声するときの舌や唇の動きの個人差を調べたり、外国語を勉強する際に正しい舌の動きをしているかを話者に教えたりする研究に利用されています。
　私たちは、磁気センサシステムの小型センサにつながっているケーブルを細く柔らかいものに交換して、実験の際の発声への影響を小さくするよう改良しました。これによって、より自然な発声の状態を計測することができるようになりました。この成果はアメリカ音響学会の論文誌に掲載されています。また、磁気センサシステムに関する講習会を開くなど、普及を進めるための活動をしてきました。こういった研究活動が評価されて今回の学術研究奨励賞の受賞となりました。
（知能情報学部・教授・北村達也）