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    ヒューマンセンシングによる新たなコミュニケーションの実現

    2019年9月27日(金) 知能情報学部新着情報

    みなさんは、最近よく耳にする“自動運転”という言葉についてどんなイメージを持つでしょうか?「クルマが勝手に走り出して目的地に連れて行ってくれる」というイメージでしょうか。確かにその通りですが、現状ではみなさんのイメージの一部しか実現できていません。正確に表現すると一部自動運転というレベルです。
    日本の政府や米国運輸省道路交通安全局では、自動運転のレベルというものが定義されています。すべての操作をドライバが行うレベル“0”から完全自動運転のレベル“5”まであり、日本ではドライバの補助機能が実現している程度でレベル“2”に相当します。そのため、交通システムにおける安全・安心な環境を実現するためにはドライバが起こしうる多様な挙動・状態を推定する技術が必要です。なぜなら、ドライバが操作を間違ったり、失敗したりして起こる事故を防ぐためにドライバの状態を監視する技術が必要だからです。これにより、ドライバが適切な状態で運転行動を行い、事故リスクを削減することが可能となります。
    私たちの研究グループでは、これを実現する手段としてカメラを主とした様々なセンサから、運転中のドライバの顔の向きや視線といった局所的な情報と、姿勢や動きに関する大局的な情報を抽出し、機械学習を用いることでドライバの余裕度を推定することに成功しています。将来的には、今はやりのDeep Learningなども用いてドライバの感情状態の推定を高精度に認識することを目指しています。感情状態の推定が可能になれば、機器が人間同士の対話のように空気を読むことができるようになり、より自然で柔軟な機械とのコミュニケーションが実現できるはずです。人と機械の新たな関係は、快適で心地よいコミュニケーションの実現につながります。ヒューマンセンシングは、今後のエンターテインメントを支える技術への挑戦であり、興味の広がる研究ではないでしょうか。
    (知能情報学部・准教授・山中仁寛)