新着情報
『甲南の教員が解説するNobel Prize 2024化学賞』を開催しました
2025年1月22日(水) 理工学部新着情報 お知らせの一覧 甲南大学理工学部では、甲南大学の教員がノーベル賞受賞テーマを解説する『甲南の教員が解説するNobel Prize』を開催しています。「ランチをしながら最新の科学の話題に親しみを持ってもらう」をコンセプトに「SaLaCoランチョンセミナー」として開催しています。
2024年度の第二弾として、12月18日(水曜)に『甲南の教員が解説するNobel Prize 2024 ノーベル化学賞』を開催しました。当日は、「対面・オンライン」形式をとりながら、昼食時間を利用して、ご飯を食べながら講演を聞くスタイルで実施しました。
解説セミナーでは、生物学科 渡辺 洋平 教授より、デビッド・ベイカー教授、デミス・ハサビス氏、とジョン・ジャンパー氏による受賞内容「計算によるタンパク質の設計と構造予測」について解説いただきました。
冒頭、渡辺先生からは、生物の基となる「タンパク質」について、基礎からわかりやすく解説いただきました。
約50年前、タンパク質の研究が進展する中で生じた「タンパク質の構造がアミノ酸の配列で決まるならば、アミノ酸の配列からタンパク質の立体構造を予測できる?」という興味深い疑問は、「生化学50年来の問題」と言われ、とても難しい問題であるとのことです。こうした難問を解明していく3名の成果を、1994年より始まったCASP (タンパク質構造予測の世界大会)」での取組や成果などを含めてご紹介いただきました。
まずは、チェスの名手でもあるデミス・ハサビス氏が、自身の開発したプログラム「AlphaFold(アルファーフォールド)」で精度の高いタンパク質構造予測を行ったこと、続いてジョン・ジャンパー氏がハサビス氏のチームに加わり、「AlphaFold2」を開発し、CASP14において「AlphaFold」を超える高い精度でタンパク質の構造予測を行ったこと、そして、3人目のデビッド・ベイカー教授は、「Rosetta(ロゼッタ)」と呼ばれる「タンパク質の構造予測だけでなく設計もできる」プログラムを開発し、計算によって設計されたタンパク質「Top7」をつくりあげたことなどを、詳しく解説いただきました。
デミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏は、タンパク質の複雑な構造を予測し、デビッド・ベイカー教授は、全く新しいタンパク質を計算で設計し作ったことが、「50年来の問題を解決した」点で評価されたのですね。
これらの成果から、新たなタイプの数々のたんぱく質やワクチンなどが作れるようになるかもしれませんね。
サイエンスラーニングコモンズ企画運営委員会