新着情報
『甲南の教員が解説するNobel Prize 2024 生理学・医学賞』を開催しました
2024年12月11日(水) 理工学部新着情報 お知らせの一覧 甲南大学理工学部では、甲南大学の教員がノーベル賞受賞テーマを解説する『甲南の教員が解説するNobel Prize』を開催しています。「ランチをしながら最新の科学の話題に親しみを持ってもらう」をコンセプトに「SaLaCoランチョンセミナー」として開催しています。
2024年度の第一弾として、12月4日(水曜)に『甲南の教員が解説するNobel Prize 2024 ノーベル生理学・医学賞』を開催しました。当日は、「対面・オンライン」形式をとりながら、昼食時間を利用して、ご飯を食べながら講演を聞くスタイルで実施しました。
本日のセミナーでは、生物学科 久原 篤 教授/日下部 岳広 教授/より、ビクター・アンブロス教授とゲイリー・ラブカン教授による受賞内容「マイクロRNAの発見とその遺伝子調節における役割」について解説いただきました。久原先生からは、研究でのモデル生物となった「線虫」にまつわる発見、日下部先生からは、遺伝子調節による働きとその役割についてそれぞれ解説いただきました。
まず、久原先生からは、今回の受賞のカギとなり、久原先生の研究対象生物でもある「線虫」についてわかりやすく解説いただきました。これまでの研究により、線虫の変異体として、体が長いものや器官が全然育たない個体、体の中にどんどん卵が溜まっていってしまう変異体がみつかり、それらの異常を引き起こす遺伝子としてlin-4が発見され、それがマイクロRNAであったことを紹介いただきました。
続いて、日下部先生からは、線虫の異常な成長にかかわる遺伝子について、DNA/RNA/たんぱく質の基礎から解説いただき、マイクロRNAの特長について、線虫だけではなく、人間も含めた多くの生物で共通して存在するマイクロRNAを合成するlet-7遺伝子の発見と、これが祖先より変わらず存在(遺伝子が保存状態であること)していることが興味深い発見であることを紹介いただきました。
また、遺伝子の異常が、がんの発生や骨・臓器の形成に影響がしていること、そしてマイクロRNAの一部では、乳がんに関わっていることなど分かってきており、がん研究においてがん増殖を抑制することにもつながっていることなど興味深い解説をいただきました。
これにより、今後の遺伝子研究により、がんの早期発見や治療につながるかもしれませんね。
お二人に共通してお話いただいたことは、今回のノーベル医学・生理学賞は、「線虫」がモデルでありましたが、ホヤやハエなど様々な生物で「ノーベル賞受賞」につながる様々な発見と解明に貢献している歴史も知る大きなきっかけとなりました。
サイエンスラーニングコモンズ企画運営委員会