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    【フィールドワーク】 村おこし運動とデジタルによる地方創成 ―鳥取県智頭町で得たもの―

    2024年7月09日(火) マネジメント創造学部新着情報 お知らせの一覧

     教室を飛び出して現実の社会から様々に学ぶスタイルは、CUBEならではの実践的な授業。今回はスタートアップ企業eMotto社が開発した「Paro Tone」という新しい電子楽器を用いて、地域活性化を含めた様々な企画を考えるビジネス研究プロジェクト授業の一環で、地方創生の先進的な取り組みを行っている鳥取県智頭町を訪問した、高戸さんにお話を伺いました。

    Q.鳥取県智頭町でのフィールドワークはいかがでしたか?


     智頭町を訪問して、印象に残ったことは、智頭町の役場の方々が町民の主体性をすごく大切にされていたことです。智頭町を訪問する前は、田舎町だということもあり、農業を軸に生計を立てている町だと想像していました。しかし、実際に訪問しお話を聞かせていただくと、住民の大半が高齢の方にも関わらずデジタル化やIT化がすすんでいたり、住民の暮らしや、町により活気が出るよう様々な取り組みをされていることを知り、とてもアクティブなところに驚きました。
     取り組みについて特に印象に残ったのは村おこし運動です。智頭町には88の集落があるのですが、集落単位で大手外食チェーン店に提供するキクラゲを栽培していたり、森林セラピーの事業展開などたくさんの種類の活動が行われています。これらの多くの活動は住民が自主的に行っているものであるということがとても印象的でした。またこの活動のおかげで、行政と町民の方の関係が密になり、信頼関係の構築にも繋がったと伺い、他の地域でもこのような自立した自治体の存在が地方創生につながるのではないかと思いました。他の自治体にも、まだ行政が活かしきれていない地域の資源が多くあると思います。そのため、住民が主体となって魅力を活かす活動を行い、行政がサポートをするという智頭町のような形が広がっていけば住民の地域への愛着も高めながら、その地域の活性化に繋がるのではないかと思いました。
     また、美しい村として智頭町が取り組む企画を、デジタル村民という智頭町民以外の方が考えるという印象的な取り組みもされていました。このデジタル村民という、間接的に智頭町に関わってもらう人の数を増やしていることも印象に残りました。智頭町とは関わりを持っていなかった人に関わりを持ってもらうことによってよりその名が広まりやすく、外部の方の力もお借りしながら地域を盛り上げている方法は、人口が減少している日本の多くの地域でも応用できる素敵な仕組みだと思いました。



    Q. 智頭町での学びを踏まえ、「Paro Tone」の活用はどのような企画になりそうですか?


    まだ、はっきりとした形には出来てはいないのですが、私たちのグループは、中間発表では50歳から55歳のパートなどで働いている方々を対象に「Paro Tone」を利用してもらうという提案を考えました。「Paro Tone」は初心者でも気軽に演奏できる新しい楽器ですが、私たちはその強みを簡単で続けやすいということだと考えました。子育てにゆとりができ、お金と時間に少し余裕ができた方々に受け入れていただけるのではないかと思っています。実際に「ParoTone」の開発者の方に発表をするにあたっては、ターゲットの説得性を高めるために様々なデータを集めたほか、ウェブページデザインなどもグループで作成しました。



    Q. 今回のフィールドワークから得たものを今後どう活かしていきますか?


     私は、このフィールドワークで、村おこし運動からは住民の主体性がもたらす力と、デジタル村民の取り組みからは外部との関わりを上手に持つことの重要性を学びました。
    私たちは、プロジェクト授業で「ParoTone」という楽器を通じたコミュニティの形成の方法などについて考えているのですが、智頭町民の自立した主体性のあるコミュニティというものを「ParoTone」のコミュニティにもうまく当てはめることが出来ればよいなと思っています。
     また私は、住民のコミュニティ形成というと、行政側が1から10まで準備しければいけないと考えていました。しかし智頭町で学んだのは、コミュニティに属する人達の主体性が大切だということです。これからのプロジェクトの活動にぜひこの点を活かしていきたいです。
     また、外部との関わりを上手にもつということについては、今後の大学生活に活かしていきたいと思います。CUBEはメインキャンパスではないため、他の学部との関りは多くはないですが、その分今回のように、授業でも教室の外に飛びだして貴重な体験をする機会が数多く用意されています。私もそのおかげで挑戦することへのハードルが高校生の頃に比べて下がったように感じます。今回の智頭町への訪問で学んだ外部との上手な関わり方を、自分に置き換えて、自分の興味につながる活動や、得意を活かすことが出来る団体、活動に積極的に参加していきたいです。


    学生:2年次 高戸 桜菜さん
    聞き手:CUBE事務室