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〈どうしたらよいのかわからないときに どうしたらよいのかを考え抜く力〉 ─経済学部「プロジェクトゼミ」 講師・水野正人氏を迎えて─
2015年6月12日(金) 経済学部新着情報
先日このページでお伝えしたように、去る5月19日、経済学部「プロジェクトゼミ」の講師として、ミズノ株式会社会長の水野正人氏(1966年経済学部卒)をお迎えしました。
水野氏は、自らの生い立ちから始まり、これまで手掛けた数々の仕事について、そして、2020年東京オリンピックの招致活動に携わるなかで経験したことなど、多くのエピソードを交えながら、学生たちに熱く語りかけてくださいました。そして、ペンを手にされた水野氏は、ホワイトボードに、次の文字を記されました。
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今回、水野氏から学生に与えられた課題は、「ニュービジネスの可能性」。
「たとえば、2020年までの日本を良くすることは、東京オリンピックの目的の半分でしかない。残りの半分は、2020年以降の社会をどう良くするか。世界のなかの日本を考え、世界の、そして日本の未来を見据えてみてほしい。そこで、何がチャンスなのか、どうやってチャンスをつくるのかを考えてみてもらいたい。みんなでアイデアを出し合って、日本を世界に誇れるような“ピカピカの国”にしてほしい。みんなには、一廉(ひとかど)の人物として、日本をリードしていくことを期待したい」──これが、水野氏が今回の課題に込めた、学生たちへのメッセージでした。
水野氏は、そのお話を、学生へのアドバイスのかたちで、次のようにまとめられました。
「目的と目標とを区別し、それぞれを明確にすること」
「戦略と戦術とを区別し、目的と目標にしたがって、それぞれを立案すること」
「組織がチームとして機能するようにすること」
そして、水野氏は、これらのことを実行するためには、「具体的で明確な計画を立てること」、そして、「コミュニケーション」と「振り返り」がとりわけ重要であることを強調されました。
できるのかできないのかもわからないし、いったいどこから手をつけていいのかわからない──今回の課題については、きっと、誰もが「どうしたらよいのかわからない」と思うに違いありません。しかし、物事を解決する力とは、「どうしたらよいのかがすぐにわかる」問題について問われるのではなく、「どうしたらいいのかわからない」問題についてこそ、問われるはずです。つまり、物事を解決する力とは、「どうしたらよいのかわからない」問題に反応できる力(responsibility)のことであり、それこそが、リーダーシップ(物事を成し遂げる力)の基盤となる──水野氏のお話は、このように締めくくられました。
今回、学生たちが求められたのは、どうしたらよいのかわからないときに、どうしたらよいのかを考え抜くことです。まずは、「どうしたらよいのかわからない」と考えるのではなく、「こうしなければならないとは決まっていない」と発想を変えるところから始める必要がありそうです。
次回は、学生たちが「どうしたらよいのかわからない」課題と格闘している様子について、ご報告したいと思います。
(文責:寺尾 建)