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台湾研修報告・その6
2018年10月03日(水) 法学部新着情報
えん罪救済ボランティアの台湾研修報告、最終回です!法学部3回生の赤井加奈さんの記事です。
[法学部教授・笹倉香奈]
私が台湾研修に参加したのは2回目でした。
前回参加したのは2017年の12月でした。日本と台湾のえん罪救済センターの活動報告や意見交換などを行いました。それから半年以上が経ち、再び台湾研修へ行く機会が訪れました。今回は、日本と台湾・韓国・シンガポール・NYと様々な国の、えん罪問題に取り組んでいる専門家の先生方や、学生たちが参加しました。その中で私たちえん罪救済学生ボランティア5名が参加させていただきました。
初日は、私たちの活動報告を行う時間を頂いて、英語でパワーポイントを使い報告しました。これまでも日本では、シンポジウムの際に設けたブースや去年参加したリサーチフェスタなど学生や一般の方々に学生ボランティアの活動報告は行ってきました。しかし、海外の人に対して、ましてや英語での活動報告は初めてだったので、どのように簡潔に分かりやすく説明すればよいかとても考えました。まず始めに、学生ボランティアの人数を報告し、次にイノセンス・プロジェクト・ジャパン(以下IPJ)とえん罪救済学生ボランティアの関係を説明しました。また、シンポジウムの設営等のお手伝いや、施設見学、学生ボランティアでの勉強会等、私たち学生ボランティアの活動報告をしました。そして学生ボランティアがデザインしたTシャツとバッジを紹介し、最後に活動を通じて感じたことを発表しました。そして先生にパワーポイントや英文をチェックしていただき、その英文を必死で練習した甲斐もあり、無事に活動報告は成功しました!
えん罪救済学生ボランティアの活動報告の様子
二日目・三日目ともとても考えさせられる内容でした。私が何より感じたのは「どの国にもえん罪はあって、国や文化は違うけれどもえん罪被害者の苦しみは違わない」ということでした。台湾のえん罪被害者の方々も参加なさっており、日本からも布川事件のえん罪被害者である桜井昌司さんが参加していました。両国のえん罪被害者の方々が自身の体験を語られているときもお互いの話に頷いて共感していました。しかし、えん罪被害者の方々は決して暗くはありませんでした。経験する必要の無い刑務所暮らしを強いられ、多くの時間を奪われて沢山の痛みを経験したことによって悲観ばかりしているわけではありませんでした。その経験があったからこそ、いかに一日一日が貴重で平穏な毎日が当たり前ではないのかを痛感し、今を誰よりも大切に、明るく前向きに生きていらっしゃいました。二日目と三日目の夜にパーティーがあったのですが、その際もえん罪被害者の方々は笑顔を絶やすことなく、私たちに話しかけてくれたり、一緒に写真を撮ってくれたりと私たちも彼らがえん罪被害者であることを忘れてしまうほど、明るかった印象が強く残っています。
今回この研修を通して、日本の司法の解決すべき問題はまだまだ山積みだと痛感させられました。台湾の参加者の中には、検察官や大臣、裁判官などあらゆる方面の専門家の方々がいらっしゃいました。日本もそのような討論が出来る機会があれば良いのにと考えました。そのために私たち学生ボランティアがもっと全国にこの活動を広めて、少しでも貢献できればと思います。
私はもう3回生なので、この学生ボランティアも少しずつ後輩に引き継いでいかなければなりません。これからもこの甲南Chに私たちの活動を報告していきます。少しずつではありますが、興味を持っていただけると幸いです。
(3回生 赤井加奈)
二日目:参加した学生ボランティアと先生で集合写真 三日目:パーティーでの集合写真