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台湾研修報告・その2
2018年9月25日(火) 法学部新着情報
えん罪救済ボランティアの台湾研修報告、その2です!法学部2回生の三村哲平さんの記事です。
[法学部教授・笹倉香奈]
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2018年8月24日から27日の3日間、アジア諸国のえん罪救済に携わる方々が台湾に集まり、会合が行われました。この会合に台湾・日本・韓国・シンガポールの4ヵ国が参加し、各国の活動状況や現在までに起こった冤罪事件について意見交換がなされました。今回、甲南大学でえん罪救済ボランティアに参加している学生もこの貴重な会合に参加することができました。
8月24日台湾研修1日目、この日は2,3日目に開かれる全体会議を前に、各国代表者間でのワークショップが行われました。主に各国のプロジェクトの組織構造や活動状況、現時点で直面している問題について発表がなされました。
えん罪の被害にあった方々を救済するという目的は同じでも、組織の特徴や抱えている問題が各国ごとに異なっている点があり、とても興味深かったです。そのワークショップの中で私たち日本の学生ボランティアも活動報告をさせていただきました。慣れない英語での発表でしたが、日本のボランティア活動について知っていただける良い機会となりました。
また台湾、シンガポールでも同じく学生ボランティアが活動しており、重要な役割を果たしていました。例えば私たち学生ボランティアは調査資料のスキャン作業や広報活動、講演会などを主に活動しているのに対し、台湾の学生ボランティアは事案のサポート(記録収集や無罪主張の審査など)や被害者家族へのサポート、メールの翻訳作業など、より事案と直接的に関係した活動を行っていることにとても驚きました。さらにシンガポールでは驚くべきことにイノセンス・プロジェクトが学生主体で取り組まれており、教員アドバイザーや弁護士会と共同して活動していました。私たちと年齢がさほど変わらない方々が、進んでプロジェクトの中心を担っていることに感銘を受けたと同時に、私たち日本の学生ボランティアも被害者支援やより多くの人にえん罪を知ってもらう活動など、まだまだ活躍の場を広げられるのではないかと感じました。
お昼休憩の際には、台湾イノセンス・プロジェクトの事務所を案内していただきました。事案の審査などをおこなう会議室や現在までに担当した23件の事案が書かれたマップなどがありました。その会議室の中には片目だけ目が描かれているダルマが十数個置かれていました。それは現在受け持つ事案につき1個置かれており、えん罪を晴らすことができれば、もう片方の目を描くというもので、実は日本から台湾へ贈られたものでした。
1日目を通して、これまで日本のえん罪事件や司法制度にしか知識がありませんでしたが、各国の制度や現状を聞くことができ、視野がとても広がりました。また刑事事件の有罪率の高さや自白強要など、各国に共通する問題もあり、まだまだアジアの司法制度の見直しが必要だと学ぶことができ、とても勉強になりました。