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    東京研修を振り返って

    2018年9月17日(月) 法学部新着情報
     連載「えん罪救済ボランティア・東京研修」第6弾です。法学部3回生の小畑佳奈さんの記事です。
    [法学部教授・笹倉香奈]
     
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     2018年8月の21日、22日の2日間にわたって行われた東京研修は、様々な施設の見学や現場の方々のお話を伺うことにより刑事司法の実態を学び、特に冤罪は何故起こるのかということについて考える良い機会となりました。
     
     2日間の研修で1日目は冤罪事件の被害者である桜井昌司さん、そして2日目は検察官の方、といった異なる立場の方々からお話を伺えたことはとても貴重な体験でした。そして、現場で働く警察官や検察官の方々は誠実に仕事をなさっていることを実感する一方で、それにも関わらず冤罪事件が起こる背景には法制度の問題点があると感じました。
     
     現在の刑事訴訟法では、警察の捜査で集められた証拠は検察官へと渡りますが、その全ての証拠が弁護人に開示されるわけではありません。また、取調べの可視化が法律によって定められているのは裁判員裁判の対象となる事件と独自捜査事件のみで、これは全体の2~3%に過ぎません。2016年の刑事訴訟法改正によって以前よりも弁護側に公開される情報が増えたものの、このように被告人にとって不利な状況は依然としてあるといえます。検察官の方は必要な証拠は全て見せており、また取調べの可視化についても拡大していると仰っていましたが、必要な証拠かの判断は検察官が行っており、可視化についても広がってはいるものの法律で可視化が義務付けられているものは前記した2~3%です。桜井さんのお話にもありましたが、冤罪を防ぐためにはこのような現在の状況から証拠の全面開示と取調べの全面可視化への改正によって検察側と弁護側が対等な立場になることが必要だと感じました。
     
     桜井さんは、警察や検察が虚偽の証拠をねつ造したり、真実が明らかになるような証拠を隠し持っていたというお話をなさっていました。その一方で、お話を伺った検察官の方は「検察官は被害者の代弁者だと思っていたが、実際に取調べをしてみると被疑者が何故ここへ来なければならなかったのかを考えるようになり、その後の社会復帰まで考える」と仰っていました。冤罪事件のお話を伺うと、どうしても警察や検察に対してマイナスなイメージを持ってしまいますが、実際に現場で働いておられる検察官の方は1日何十件もの事件のひとつひとつに誠実に取り組まれていることを忘れてはいけないとも感じました。また、この御二方のお話から様々な視点で物事を考えることの重要性も学びました。
     
     桜井さんのお話の中でも特に印象的だった言葉があります。それは、「警察“が”治安を守っているのではなく、警察“で”治安を守っている」というものでした。この言葉は、法律によって被疑者を逮捕する警察が治安を守るのではなく「そもそもこの法律は正しいのか?」「この被疑者は逮捕されるべきなのか?」など私たちが考え、逮捕する権限を警察に委ねることで治安を守るという意味だと思います。今回の研修での貴重な体験を生かして、私も今の法律が本当に正しいのか、今後どのように変わって行くべきなのかということを考え続けていきたいと思いました。