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    えん罪救済ボランティアの活動その8~台湾研修②~

    2018年1月15日(月) 法学部新着情報
     日本の「えん罪救済センター」(イノセンス・プロジェクト・ジャパン、IPJ)と同じく、無償でえん罪救済に取り組む団体が台湾にあります。台湾冤獄平反協会(台湾イノセンス・プロジェクト、TIP)です。
     IPJよりも早く2012年に設立され、すでにいくつかの事件の冤罪を晴らし、無罪判決を勝ち取るなど先端的な活動をしています。
    IPJとTIPは以前から交流を深めています。えん罪事件の救済に関する情報交換だけではなく、主催するシンポジウムにお互いを招待しあったり、海外の学会などで一緒にセッションを組んで報告をしたりするなどしてきました。
     12月にIPJの運営委員らが台北市にあるTIPのオフィスを訪問するイベントがありました。そこで、IPJのボランティア学生も運営委員と一緒にTIPを訪問し、海外のえん罪救済の状況について学ぶ機会を得ることができました。
     3回に渡って、学生たちが台湾研修で学んだ内容を記します。今回は連載2回目です。
    以上、法学部教授・笹倉香奈
     
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     2017年12月17日に、えん罪救済学生ボランティア(甲南大学プレミア・プロジェクト)の学生5人が、台湾のイノセンス・プロジェクト(台湾冤獄平反協会)のオフィスを訪問しました。法学部教授であり、えん罪救済センターの副代表である笹倉香奈教授、センターの稲葉代表、山田事務局、運営委員の佐藤弁護士と事務所の弁護士の先生方と同行しました
     
     私達学生は、えん罪救済センターをお手伝いするため「えん罪救済学生サポーターズ」の一員として日々ボランティア活動に携わっています。
     
     今回の訪問の目的はえん罪救済センターと台湾冤獄反協会で活動状況を報告し、互いに学び合う事でした。私達は台湾冤獄反協会の歴史や活動状況、台湾の司法制度についてなど様々な事を学びました。今回はその一部をご紹介します。
     
     最初に私達が驚いたのは、学生たちの役割についてです。
     台湾冤獄反協会では、学生らが協会の運営にも積極的に参加しているようです。 例えば、台湾のイノセンスプロジェクトのTシャツ、ビラ等のデザインは学生が担当したものもあるそうです。
     私たちもロゴやビラの制作など、広報活動にもっと力を入れていきたいと思いました。
     
     そして何より私たちが驚いたのは台湾の司法制度が近年非常に発展しているという点です。
    台湾の検察庁の中に「冤罪検証部門」という部門が出来たそうです。ここでは検察官が冤罪の可能性について検証します。実際に検察官が死刑確定者のために再審請求を行い、冤罪が晴らされたこともあるそうです。
     
     台湾冤獄反協会現会長の羅さんは「日本の刑事司法は検察官と弁護士が対立的すぎる。」と感じているそうです。台湾では検察らが「故意がなくとも冤罪は起こりうる可能性があるのだから救済措置は常に開いておくべき。」という意識を持ち始めてから司法制度も変わってきたそうです。日本でも検察官が冤罪の起こりうる可能性を鑑み、弁護士と協力することで真の正義を追及できるのではないかと仰っていました。
     日本でも弁護士と検察官の対立ではなく協力により真の正義を追求できるような司法制度に移り変わって行くことを切実に願います。
     
     様々なことを学べたとても有意義な三日間となりました。今後の私たちの活動に活かしていきたいと思います。

                                         
    〔法学部2回生・後藤響〕
    追記:Tシャツを頂きました!