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    えん罪救済ボランティアの活動 その5

    2017年11月24日(金) 法学部新着情報
     えん罪救済ボランティア(詳細はhttps://ch.konan-u.ac.jp/news/621 をお読みください)の第6回交流会を11月19日の日曜日に開催しました。
     今回から甲南大学・立命館大学に加えて、龍谷大学の学生さんも参加し、30人以上が集まりました。
     
     第6回の交流会では、京都弁護士会で現在、刑事弁護委員会の委員長をされている石側亮太弁護士に「刑事弁護」とはどういうものかについて伺いました。石側弁護士は、えん罪救済センターの運営委員として事件の審査などに関わっています。また、日野町事件の再審請求にも以前から弁護団のひとりとして活動をされています。刑事弁護にとてもご造詣の深い方です。
     
     ご講演は「えん罪事件の刑事弁護」ではなく、えん罪事件ではない普通の「刑事弁護」についてでした。
     刑事弁護をしている弁護士に対して「なぜ悪い人の味方をするのか」という問いがよく向けられます。このような問いかけに普通向けられる回答は「誰でも人ととして尊重されるべきだから」「捜査機関・権力側のチェックをしなければならないから」などというものです。
    しかし、石側弁護士は、これでは納得できないと思っていました。そして考えた結果、そもそも「問い」がおかしいのではないか、ということに気づきました。

     
     なぜ「悪い人」を弁護するのか、ではなく「悪いことをした人」を弁護するのか、と問われるべきなのではないか。「悪い人」をあたかも自分たちとは異質の人間と想定すること自体が、本来は問題なのではないか、ということです。

     許しがたいと思われるような犯罪行為をした人も、その生い立ちや事件の背景には必ず何らかの事情があります。もし私たちが同じ状況に置かれていたらどうでしょうか。たまたま恵まれた環境にあるから「善良な」市民として生きていけているのかもしれません。そうであるとするならば、「悪いことをした人」は決して「私たちとは違う人」ではなく、私たちを含めた社会のひとりであり、仲間なのです。こう考えると、当然、仲間に対する刑事弁護が必要だ、ということになります。
     
     講演の後は活発な質疑応答も行われました。
     3月には学生ボランティア主催のシンポジウムを開催することになりました。またお知らせします。



    (文責:法学部教授 笹倉香奈)