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    袴田事件弁護団の戸舘圭之先生のお話を伺ってきました!(東京研修③)

    2017年9月27日(水) 法学部新着情報
     
     2017年9月12日から14日の3日間、えん罪救済ボランティアの学生30人と東京に研修に行きました。訪問先などについて、参加した学生が執筆した記事の第三弾です。(法学部教授・笹倉香奈)
     
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     みなさんは袴田事件をご存知ですか?
     袴田事件とは、1966年に現在の静岡市清水区でみそ会社の重役一家4人が殺害された強盗殺人放火事件のことです。その犯人とされたのが袴田巌さん(当時30歳)でした。袴田さんは無罪を主張しましたが、当時の警察の捜査は袴田さんを犯人と決め付けた上での捜査で、犯行を裏付ける証拠や自白にかなりの矛盾があったにも関わらず1968年に有罪判決を受け、1980年には死刑が確定しました。袴田さんは、死刑確定から、静岡地裁が 2014 年に再審開始と、死刑執行停止・拘置停止の決定を下すまで34年の時を東京拘置所内で過ごし、逮捕時から合わせると48年もの間、自由を奪われたのです。
     
     9月12日に、えん罪救済センター学生ボランティア研修に参加した甲南大学の学生有志が、甲南大学NC東京にて袴田事件について袴田事件弁護団戸舘圭之先生のお話しを伺ってきました。
     
     戸舘先生と袴田事件との出会いは、静岡大学在学中に袴田事件弁護団事務局長小川秀世弁護士の講義を受講したことがきっかけだったそうです。その後、様々な勉強会に参加するうちに自身も弁護士として袴田事件に関わりたいという強い思いから、司法試験の受験を決心され弁護士になられたそうです。
     
     講演会では約1時間半に渡り、袴田事件の概要や、なぜ袴田さんが犯人として浮上したのか、当時の報道や当時の捜査における矛盾点等について、とても丁寧な説明をして頂きました。他にも袴田さんの拘置中の様子や釈放時の様子といった、実際に袴田事件に関わらなければ知ることができないことに関してもお話しくださいました。
    袴田さんは1980年に一度死刑が確定してから死刑執行停止命令までの34年間、毎日死刑執行の恐怖に襲われ、精神状態も限界に達し、徐々に弁護士の助けや家族との面会すら拒否するようになったそうです。
     釈放を袴田さんに伝えたときも、袴田さんは「わしは裁判なんか知らん」といったようなキョトンとした様子だったそうで、このお話からも拘置中の袴田さんの精神状態はかなり追い詰められていたのだということが感じ取れます。
    現在袴田さんは平穏な生活を送っておられるそうですが、精神状態が元に戻ったわけではありません。拘置所で過ごした48年もの時間が戻ってくることもありません。
     
     戸舘先生のお話を聞いて、改めて適正な捜査の重要性、刑訴法を学ぶ意義を痛感し、今後の刑訴法のあり方について改めて考えていかなければならないと感じました。
    貴重なお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。 (法学部3年生 有村仁奈)



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