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甲南大学の法学部生が、刑務所の参観に行きました!
2017年3月06日(月) 法学部新着情報
甲南大学法学部の学生有志が、兵庫県明石市にある神戸刑務所を参観しました。まだ風の冷たい2月の午後。まずは1時間ほど施設の中を歩いて案内して頂いた後、会議室にて施設の概況についてのビデオ上映、その後施設の現状について説明して頂きました。質疑応答を含め、2時間半もの間、とても丁寧な説明を受けることができました。
【神戸刑務所の正門にて】
神戸刑務所は成人男性を収容する施設です。比較的犯罪傾向の進んでいる26歳以上の男性と日本語をある程度理解している外国人男性を収容しています。中には執行すべき刑期が比較的長い(10年以上)被収容者もいます。定員は1800人ですが、最近では1300人程度が収容されており、2000年初頭の過剰収容状態はかなり落ち着いているようです。
参観では、最初に運動場や被収容者の食事を作る炊場などの説明を受け、入浴場を見せて頂きました。実際に稼働中の印刷工場、自動車整備や建設く体工事などの職業訓練が行われている訓練場も見せて頂きました。神戸刑務所では、外部からの自動車整備(洗車や車検)も受け付けているそうです。
さらに居室も見せて頂きました。雑居室には複数人の被収容者が生活をしており、独居室では夜間は1人で過ごすことができるそうです。行状の良い被収容者は優遇措置として独居室に入ることができますが、逆に集団生活が難しい被収容者や懲罰のための独居室もあることなどを説明して頂きました。居室の中にあるテレビは、余暇時間(17時半から21時)に見ることができ、チャンネルの制限は特にないそうです。しかし居室には冷暖房もなく、冬の寒い時期は特に大変そうでした。
被収容者の刑期の平均は4年6月だそうです。そのほかにも、覚せい剤や窃盗について刑を執行されている人が多いこと、60歳以上の方が4分の1程度いること、被収容者の高齢化が進んでいることなども教えて頂きました。何度も刑務所に出入りしている高齢者は社会に居場所がなく、それほど重大ではない犯罪(窃盗など)を繰り返し犯して刑務所に帰ってきてしまっているという実情もあるそうです。
被収容者の社会復帰のために特に重要なことのひとつが仕事であることから、神戸刑務所ではハローワークの職員に駐在してもらい、就労支援をするという取り組みをしていること、関西県内の企業による所内での就職説明会などの取組みもはじめていることなどは印象的でした。また、高齢者や障がい者へのケアとして、コラージュや音楽療法を昨年から取り入れており、効果も上がっているようだとのことでした。
なかなか普段は知ることができない施設の実情を目で見ることができて、とても充実した参観になりました。
*2016年度甲南大学父母の会「学部支援」を受けた取り組みで実現することができました。
(文責:法学部教授 笹倉香奈)