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法学部の有志学生による模擬裁判!
2017年2月27日(月) 法学部新着情報
「被告人は無罪」――緊張感みなぎる法廷に裁判長の声が響きわたりました。
法学部有志による模擬裁判を2月24日に開催しました。参加者は、刑事訴訟法ゼミの三回生を中心に、一回生から三回生まで、約30名です。昨年の7月の第一回ミーティングから数ヶ月かけて、この日のために準備してきました。
参加者は4つの班に分かれて活動しました。模擬裁判で取り上げる事件は「事案班」が考えます。実際に起こった過去の事件の判決文や報道などから事件を組み立て、数ヶ月かけて事件の証拠などを作り上げます。事案班の中でも証人や被告人の役割にあたった人は、実際に事件が起こったことを想定して、何度も「事件現場」で実演を行いました。
その後、10月頃より検察官役、弁護人役が実際に事件を捜査・調査し、公判前整理手続を経て公判にいたります。できる限り実際の刑事手続と同じように証拠や書面などを準備しました。本番に向けて、証人尋問や被告人質問などの練習や調整も繰り返しました。裁判官役は公判の進行を考え、過去の判例を調べ、判決を下書きするなどの準備を行います。講義の後や休日に図書館などで調べ物をしたり打合せをしたり、一生懸命取り組みました。
【模擬裁判のチラシ:一回生の後藤響さん作成】
そして本番当日。今年の事案は、大学のエレベーターの中で起きた窃盗の事案です。防犯ビデオカメラの映像や、被害者・目撃者などの証言が鍵になりそうな事件です。
本来、窃盗事件は裁判員裁判の対象事件ではありませんが(裁判員裁判の対象となる事件は、こちら>>>をお読みいただくと分かるとおり、殺人や強盗殺人など、重大な事件です)、演出の都合上、当日来て下さった観客の中からランダムで裁判員を選んで裁判員裁判で審理・判決を行いました。だから、当日になるまでどのような判決になるか、誰にも予想がつきません。
【本番の様子】
結局、評議の結果「被害者や目撃者の供述には信用がなく、被告人を犯人だとするには合理的な疑いが残る」として無罪の判決が下されました。
当日はゲストとして、布川事件の冤罪被害者の桜井昌司さんにもお越し頂き、コメントを頂きました。桜井昌司さんは1967年に茨城県で発生した強盗殺人事件の犯人であるとして無期懲役を言い渡され、29年間に渡って獄中での生活を余儀なくされました。無実を訴え続け、2011年にようやく再審で無罪を言い渡され、それ以降は日本各地で冤罪について講演や講義を行うために飛び回っておられます。
桜井さんと有志の学生たちとは、夏の合宿で出会い、模擬裁判でうれしい再会することができました。
本番までの準備は大変でしたが、模擬裁判を通じて刑事司法の運用の在り方について学びを深めることができました。
*この企画は、甲南大学父母の会のご支援を受けて、実現することができました。
【本番後。みんな笑顔です】
*今年度の模擬裁判のTwitterアカウント>>>
*桜井昌司さんのブログ(模擬裁判の感想を書いて下さいました)>>>