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    科学的捜査の現場を知る

    2016年6月21日(火) 法学部新着情報

     法学部の刑事訴訟法II(3・4回生配当)の講義では、2016年6月14日に元京都府警察科学捜査研究所(立命館大学特別招聘教授)の平岡義博先生をお招きして、科学捜査の実情についてお話しいただきました。

    「みなさん、この事件で凶器となったのは、何だったか分かりますか?」 実際にあった事件の例を挙げつつ、科捜研の仕事の内容や科学捜査の方法とその限界についての講義が行われると、学生はニュースやドラマでは分からない科学捜査の実際について興味深く聞き入りました。
     科学捜査とはいえ万能ではなく、限界があります。したがって過信は禁物です。例えば、電車の中の痴漢事件を立証するための客観的な証拠として被疑者の手に付着した繊維の鑑定が行われ、被害者の衣服の繊維と同一性があるかということが問題になることがあります。
     「電車のように混雑した場所では、繊維はたくさん空気中に漂っています。このような場所で付着した繊維を調べたとしても、犯行を立証できるとはいえません。私は現役時代もこのような鑑定を行いませんでした」
     もちろん、繊維鑑定を行うことが有効・有用な事例もあります。しかし、このように、科学捜査がどのような場面でも万能であると信じ込むことは、冤罪を生むことにもつながりかねないのです。
     市民も、警察も、裁判官も、弁護士も、科学鑑定への誤解と過信は禁物です。科学捜査の現場で働いていた先生からの実感のこもったお話を伺うことができ、とても勉強になりました。
    (文責:法学部教授 笹倉香奈)
    *平岡義博先生のご著書*