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【KONANプレミアプロジェクト】文芸イベント「今、この世界で、物語を語ることの意味」、大盛況、ありがとうございました!
2018年11月27日(火) 文学部新着情報甲南大学文学部英語英米文学科では、プレミアプロジェクトの「ぶんたすプロジェクト」の一環として、11月17日(土)に、オランダのステファン・カース監督による、世界40カ国以上で翻訳されて読まれている世界的イスラエル作家、エトガル・ケレットに関するハイブリッド・ドキュメンタリー映画『エトガル・ケレットーホントの話』の日本初上映と、温又柔、福永信、木村友祐の日本文学の最前線で活躍する作家3名によるシンポジウム「今、この世界で、物語を語ることの意味」の豪華二本立ての文芸イベントを開催しました。
映画は日本初公開。ケレット作品を翻訳した(『あの素晴らしき七年』新潮・クレストブックス)秋元のよしみで、監督から無償での上映の許可をもらい、秋元が手作りで字幕を翻訳しました。作家ケレットの人生とその作品を、本人やジョナサン・サフラン・フォア、ゲイリー・シュタインガートといった作家たちの証言から浮かび上がらせるのみならず、実写とアニメーションを混ぜ、作品再現部分にはケレット本人が主演し、しかも「ホントの」作品というのはなんなのか?ホントであることに意味はあるのか?という問題を掘り下げながら、最後には映画自体をもう一つの虚構に包んでしまう、とても洗練された映画に、集まってくださったケレットファンはもとより、そうではなかった方々からも「ぜひ劇場でもう一度見たい」という声が寄せられました。
しかも、上映2日後には、この映画が国際エミー賞の現実部門を受賞したというビッグニュースまで飛び込んできました!現在日本でこの映画を見たことがあるのはこの日に集まってくださった百数十名の方たちだけです。とても貴重な機会になったと思います。今後劇場公開なり、新たな展開が期待できそうです。
第二部シンポジウムでは温又柔さん、福永信さん、木村友祐さんのお三方による「今、この世界で、物語を語ることの意味」(司会 文学部英語英米文学科 秋元孝文)が、それぞれの物語る(あるいは、物語らない)意味について、三者三様の自論を展開されました。後半のディスカッションでも三者の姿勢の違いが浮き彫りになり、フロアからの質問に対する答えにもその様子は見て取れました。単独の作家の講演会ならまだしも、複数の作家が自分の執筆について一堂に語るというのはなかなかない機会です。駆けつけた聴衆も真剣に聞き入り、この豊かな文学的な体験を楽しんでいました。冒頭にはこのイベントのためだけにケレットさんが送ってくれたビデオメッセージ上映のおまけ付き。お三方の貴重なお話は後日どこかで正確な形で記事化したいと思っております。それくらい濃密な時間でした。
寄せられたアンケートも大好評で、このような催しを毎年続けて欲しい、という要望も多かったです。来年の10月にはいよいよエトガル・ケレットさんと奥さんで映画監督のシーラ・ゲフェンさんが甲南大学に来てくれます。また、このようなイベントを開催し、さらにはそのあとにも毎年継続していけるよう、どんどん企画を立てていきたいと思っています。(文責:文学部英語英米文学科教授 秋元孝文)