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    2050年の地域コミュニティを考える:「ひょうごビジョン2050」出前講座@「社会ネットワーク論」(社会学科専門教育科目)

    2022年7月20日(水) 文学部新着情報 お知らせの一覧

    4月から多くの授業が対面形式で始まった2022年度の前期も終わりが見えてきた7月上旬、社会学科の専門教育科目「社会ネットワーク論」では、兵庫県庁の職員の方にお願いして兵庫県が2022年3月に策定した「ひょうごビジョン2050」についての出前講座を行っていただきました。

    ○2050年、地域のつながりはどうなっているのか
    「社会ネットワーク論」は、人々がもつ「つながり」をどのようにとらえることができるか、他人と弱くつながること、強くつながることがもたらすもの、流行や噂話、口コミがどのように広がっていくのかなど、社会における「人と人のつながり=ネットワーク」の役割について様々な側面から考えることを目的にしています。その一環として、地域のなかのつながりの変化、地域のことを自分たちで解決するために必要なネットワークとはどのようなものかといったテーマを扱った後、この日の授業では、2050年の兵庫県の姿を展望する「ひょうごビジョン2050」は地域における人と人とのつながりをどのように描いているのか、ビジョンが目指す豊かな地域コミュニティとはどのようなものなのかについて、行政職の方に解説していただく機会を設けました。



    ○まずは、人と人をつなぐ居場所づくりから
    「ひょうごビジョン2050」が扱うトピックは文化、働き方、経済、福祉など多岐にわたるため、今回はビジョンが目指す姿の1つとして掲げている「自分らしく生きられる社会」のなかから、「居場所のある社会」についてお話しいただきました。ビジョンとSDGsの関わり、人口減少や少子高齢化などの社会変動が、兵庫県内の地域コミュニティにどのような課題をもたらしているのか、それらに対して今回策定されたビジョンはどのような将来を構想しているのか、人々をつなぐ居場所づくりとしてどのような活動が展開されているのかなど、具体的なデータと豊富な事例の紹介を通して学生の理解も深まったように思います。地域のつながりというテーマのなかに、関係人口、社会的孤立、サードプレイス、NPO、趣味縁、ソーシャルメディアなど社会学科の学びと関わるのあるキーワードが数多く含まれていたことが印象的でした。



    ○さて、私たちに何ができるか/何をするべきか
    授業の最後に、講師を担当していただいた兵庫県庁の職員の方から、「今後の地域社会において若年層や現役で働いている世代も参加できるような、豊かなコミュニティを形成・維持していくことに役立つ取り組みとはどのようなものか、地域の人々はなにをするべきか、なにができるか」という問いかけがあり、これがこの日の授業課題となりました。提出された課題からいくつかを紹介します。

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    今後の地域社会で若者層や現役で働いている世代が豊かなコミュニティを形成・維持していくには、カフェなどのサードプレイスを公民館などの施設を活用して地域に作ることが必要である。その場所が多くの人にとってのサードプレイスとなれば、自然と地域の若者や現役世代の交流の場所となる。公民館は集いの場としての役割以外に、学びの場でもあり、地域の人や団体などのネットワークを形成する場としての役割も期待されている。そのため、公民館にサードプレイスを作ることで、学校や町内会との連携や情報交換が可能になり、不登校や子育ての孤立、貧困といった地域内で孤立した人の社会参加の機会に繋がると考える。
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    私自身、地域と学生を繋げるコーディネーターとして活動しているため、学生の地域への関心が薄れている状況を少しでも変えていこうと考えている。講義の中で紹介されていた西宮市鳴尾東で行われている「まちのよろず屋」の話を聞き、住民ができる範囲のお手伝いを仕事や学校で時間が限られている社会人や学生でも取り組める形にすると参加の敷居が低いように感じた。
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    ビジョンを設定して計画を立てることが大事とありましたが、地域のみらいへの発展のための目標を掲げることも大事ですが、現在抱えている問題に目を向けて、地域の内側から住民が住みやすい町を築くことがまず何よりも大事だと感じました。そのためには地域の人々も自分たちの住んでいる町がどういう取り組みを行っているのかを知り、こうしてほしいと思うことはネットなどから気軽にでもいいので伝えることをするべきではないかと思いました。
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    私が考えた取り組みは、「しょく活(食活・植活)」である。兵庫県は農林水産物が豊富であるため地産地消が可能だと考える。そのため現役で働く人たちは日曜大工ならぬ日曜農業のような形で参加してもらい、平日は平日に時間がある若者や主婦の人たちが補い、自分たちで育てたものは無料か安くもらえ、節約にもなり皆で協力をして農産物を育て自給自足することができる。また、ストレスを抱えながら現役で働く人たちにゆったりとした場所で休日を過ごすことで、リラックス効果や新しい趣味の発見などの効果があると考える。
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    ※「ひょうごビジョン2050」の詳細は兵庫県公式サイト「ひょうごビジョン2050ポータルサイト」(https://hyogo-vision.com/)で見ることができます。

    (文学部社会学科 教授 星敦士)