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    神戸刑務所を参観しました

    2020年1月15日(水) 法学部新着情報

     法学部の2回生から4回生の有志約30名で、神戸刑務所を参観しました。

     神戸刑務所の地元・明石市は「共生のまちづくり」の一環として、触法障がい者などが地域で安心した生活ができるよう支援する先進的な取り組みを2016年からはじめています。2018年には「明石市更生支援及び再犯防止等に関する条例」を制定しました。

     このような動きを受け、神戸刑務所も明石市と連携し、ハローワークが施設に常駐するなど、社会復帰支援にも力を入れているようでした。処遇の最新の状況を知ることができ、勉強になりました。

     3回生の川口倖大さんが、参観をした感想をまとめてくれました。
                                      [法学部教授・笹倉香奈]
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     2019年12月9日に、西明石市にある神戸刑務所の参観に行きました。施設の中を実際に見せて頂いた後、職員の方からパワーポイントで施設について詳細なご説明がありました。学生たちからの多くの質問にも、丁寧に答えて頂きました。刑務所について理解が深まった2時間でした。

     神戸刑務所には犯罪傾向が進んだ26歳以上の男性、執行すべき刑期が10年以上で犯罪傾向が進んだ26歳以上の日本人男性、日本語がある程度理解できる18ヶ国の外国人(特に中国、ベトナム人が多いそうです)が合計1,200人(12月9日現在)収容されています。

     施設内の参観では、受刑者が印刷工場や車整備、土木関係の仕事を真剣にされている様子を見ました。車の整備資格を取ることもできるそうです。釈放後すぐに働ける場所を見つけられることにもつながるようでした。
     居室は2種類ありました。1つ目は6人の共同室、2つ目は単独室でした。基本は共同室で生活を送るそうです。単独室はコミュニケーションに問題がある受刑者などが使用するとのことでした。資格試験の勉強、高卒認定試験の勉強をしている受刑者も単独室に入り、集中して勉強をするそうです。部屋の中はトイレ、布団、洗面台、テレビがありました。単独室は畳3畳分の広さで、部屋は同様の構造ですが扇風機が各部屋にありました(夏に熱中症などを防ぐためだそうです)。部屋の扉には、外側にはドアノブがついているのですが内側はついていませんでした。私物も黒いケースに溢れない限り、居室において所持できるそうです。

     食事は1日3食で給与されます。食事は被収容者の性別、健康、年齢、作業の就業状況等を考慮して必要な熱量が確保されていました。主食は1100kcalから1300kcalまでの間、副食は900kcalから1300kcalまでの間だそうです。

     神戸刑務所は定員1,800人で、現在は約1,200人の受刑者が刑務所で生活をしていますが、15年ほど前は定員の1,800人を大幅に超える受刑者が収容されていたようです。当時は全国的に収容者が多かったようです。その一因について、日本の景気が悪かったことなどがあるとのことでした。

     施設を参観して、そもそも犯罪行為に至る前に、生活に困った高齢者を福祉に繋いだり刑務所に来る手前の方で働きかけをしたりすることや、アドバイス・支援をすることが必要だと思いました。明石市の取組みには注目しています。

     大学内での勉強だけでなく、実際に施設の見学させていただくことで、より見識を深めることが出来、貴重な体験ができました。これからもっと法律について学んでいきたいと思います。

                                   [法学部・3回生 川口倖大]