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    えん罪救済ボランティア研修 名古屋地方検察庁に行きました!

    2019年10月15日(火) 法学部新着情報

     えん罪救済学生ボランティアの活動のいっかんとして、2019年9月9日から10日に名古屋に研修に行きました。1泊2日で拘置所、検察庁、愛知県警などを色々周り、刑事司法の現場について理解を深めました。
     地方検察庁の訪問記を、2回生の廣木友也さんがレポートしてくれました。
    《法学部教授・笹倉香奈》
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     研修2日目の9月10日の午前中には、名古屋市中区にある名古屋地方検察庁に見学に行きました。

     最初に検察庁の概要や刑事裁判の流れについて簡単に教わった後、検事と検察事務官の演技による模擬弁解録取手続を見せていただき、学生からの簡単な質問にお答えいただきました。その後、警棒などの戒具を実際に触らせていただきました。普段はなかなか見ることのできないものを見たり触ったりすることができ、非常に貴重な体験をすることができました。

     検察庁では警察から送致された刑事事件について、捜査及び起訴・不起訴の処分を行ったり、裁判の執行を指揮監督したりしています。
     検察庁には最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁の4種類があり、いずれも裁判所に対応した形で置かれています。名古屋地方検察庁の建物内には名古屋高等検察庁も入っており、一つの施設が地方検察庁、高等検察庁を兼ねていました。平成30年の名古屋地方検察庁管内の事件の処理状況は起訴(公判請求・略式命令請求)が約2割、不起訴処分(嫌疑不十分、起訴猶予等)が6割、不起訴処分のほとんどが起訴猶予(犯罪の嫌疑はあるが、刑罰を科す必要性が無いと判断された場合)だそうです。圧倒的に起訴される事件の割合のほうが多いと思っていましたが、そうではないと知り驚きました。

     模擬弁解録取手続の見学では、実際に弁解録取や取調べで使う部屋を見学させていただきました。部屋の中は意外と広々としており、取調べの可視化のためのカメラが設置されていました。また、現職の検察官と検察事務官の方がそれぞれ検察官、被疑者、立会事務官役で弁解録取手続を再現して下さいました。実際に被疑者役は手錠と腰縄をつけた状態で椅子に座り、検察官役が被疑者役の弁解を聞き、その内容を立会事務官役がパソコンで入力して調書として作成し、最後に被疑者役に調書を読み聞かせた上でサインと指紋押捺をさせるという流れでした。本物の検察官と検察事務官の方が演技をして下さったこともあってか、非常に臨場感のあるものであり、かつとても分かりやすいものでした。学生からの質疑応答の際には、最近では女性の検察官が増えてきていること、働き方改革の影響もあってか育児休業をとった後で復職する検察官の方もおられること等をお話ししていただきました。

     戒具見学では、警棒や防刃ベスト、手錠や手錠と併用して使うベストや縄を見せていただきました。警棒は持ってみると思っていたよりも軽かったのですが、しっかりとした堅牢な造りになっていました。手錠は二重ロック構造になっている等、簡単に外せないような工夫がされていました。

     この見学を通じて思ったのは、検察庁では様々な手続を厳格に踏んだ上で、検察官、検察事務官の方々一人一人が自身の職務に対して真摯に向き合っていて、非常に大変な仕事ながらも社会において大きく貢献し、誠意を持った素晴らしい方が沢山おられるということでした。
     もっと検察庁や裁判所の役割について理解した上で、これからの活動を通して様々なことを学んでいきたいと改めて思う、充実した見学となりました。

    《法学部2回生・廣木友也》