新着情報
Professor’s Voice 誰もがチャレンジできる融合型グローバル教育
2020年12月18日(金) グローバル新着情報Profile
2013年4月〜2018年3月 甲南学園嘱託職員
2019年4月〜 甲南大学共通教育センター特任講師
神戸大学大学院国際協力研究科地域協力政策専攻 博士課程前期課程修了
神戸大学大学院国際協力研究科地域協力政策専攻 博士課程後期課程在籍
甲南大学での担当授業 共通基礎演習・エリアスタディーズ
共通教育センター教員として授業を担当する他、国際交流センターフェローとしてグローバルゾーンPorteの運営などを担当している。
私はハワイ生まれの日系4世です。ハワイ大学在学中に甲南大学に留学しました。このときのすばらしい学生生活から日本に魅力を感じ、大学卒業後にJETプログラムで国際交流員として再来日しました。島根県の青少年センターや県庁で活動したあと、結婚し、育児が一段落して、甲南大学の国際交流センターに勤めることになりました。そして、私自身の成長のため神戸大学大学院国際協力研究科に入学。同時に甲南大学共通教育センター特任講師となり、修士の学位を取得。現在は博士課程に進んで研究を続けています。また、国際交流センター・フェローとしても日々活動しています。
甲南大学におけるグローバル教育の特長は、すべての学生に開かれた融合型グローバル教育であることです。日本人の多くはどうしても英語に対してネガティブな意識がありますが、「まずは気軽に国際交流を体験してもらいたい」、そうした想いから、グローバルゾーンPorteが開設されました。Porteでは、留学生も交えた多彩なプログラムやアクティビティを実施しています。英語が苦手でもいっしょにゲームをすることで、異文化、会話に少しずつ慣れていき、自然とコミュニケーションを覚えていく。そんなオープンな空間がPorteにはあります。
グローバルゾーンPorteはいわば「学内留学」とでもいうべき場になります。本格的な国際交流を体験する機会を考える場合、次のステップとして「エリアスタディーズ」という1~2週間程度の短期留学をおこなう共通科目が用意されています。アジアや欧米の大学で、教員・学生のグループがフィールドワークを行います。短期間でも充実した経験ができるよう、私もハワイ大学やイリノイ大学と協力して魅力ある留学プログラムを開発、運営しています。海外が初めてという学生でも国際交流の楽しさを実感し、あらためて中・長期留学をめざす気持ちになったという人が数多くいます。
日本の教育について感じることは、中学、高校と進むにつれて、学力偏重による「見えない天井」を子供が感じ、モチベーションが低下しがちになっているのではという点です。私が研究している自己決定理論ではモチベーションを高めるため、きっかけを提供するAutonomy(自律性)、つながりを大切にするRelatedness(関係性)、自分はできると自信を持つCompetence(有能さ)の3つを重視します。甲南大学の融合型グローバル教育はまさにこれを実践するもので、さまざまなプログラムやアクティビティで多くのきっかけをもってもらい、学生同士の交流を活発化し、学んだ知識を活かせる機会を提供しています。こうして「見えない天井」を取り払える学習環境をめざしています。
昨今のコロナ禍によって、国際交流の環境も変化を余儀なくされています。しかしながら、この状況を通じていままでにない新たな試みも広がっています。2020年度前期に行ったグローバルゾーンPorteのオンライン・アクティビティには延べ1,800人近くの学生が参加してくれましたし、ピッツバーグ大学とはオンラインで文化祭を実施することができました。ハワイ大学でのエリアスタディーズも、オンライン開催のおかけでむしろ参加の間口が広がりました。Withコロナ、postコロナでもオンライン留学など甲南大学の融合型グローバル教育は進化しています。そして、岡本キャンパスの中央に位置するグローバルゾーンPorteは、学生みんなが主役となって国際交流が進む、心地よい「居場所」として、いつもすべての学生を歓迎しています。