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    アメリカ合衆国から研究者を招聘し、南アフリカ史に関する講演会を開催しました

    2024年1月25日(木) 文学部新着情報 お知らせの一覧

    2023年11月21日、甲南大学文学部英語英米文学科および日本アフリカ学会関西支部の主催で、アメリカ合衆国からヨハン・アーント(Jochen S. Arndt)教授を招聘し、講演会を開催しました。アーント先生はヴァージニア軍事大学歴史学部に所属し、その専門は南アフリカの歴史です。南アフリカは、世界でも有数の多言語国家であり、手話を含めて12の言語が公用語として認められています。また、1990年代まで続いたアパルトヘイトという人種差別政策によって知られていますが、この政策は単に白人とアフリカ人の分断だけでなく、アフリカ人の間での民族的な対立を助長し、分断を促すことで成り立っていました。



    アーント先生の講演は、2022年に出版された著書『ことばによる分断』(Divided by the Word)に基づいており、南アフリカに住むアフリカ人の民族的な分断が、言語によって成り立っていることを説明するものでした。同一言語としてまとめられても良さそうなコーサ語とズールー語が、植民地化の過程で異なる二つの言語として捉えられたことが、コーサ人とズールー人という民族意識、そして民族間の対立につながっていったのです。その内容は大変興味深く、私(上林)を含め当日参加者たちは熱心に聞き入っていたことと思います。講演後は、甲南大学の教員だけでなく、大学院生や他大学の研究者も交えて、活発な議論が交わされました。歴史学や文学、言語学とさまざまな専門分野の専門家が参加していたため、多様な視点からの議論が展開されましたが、アーント先生はすべての質問に丁寧に答えてくれました。



    アーント先生は滞在中、大学近辺の醸造資料館を訪れたり、神戸の街を散策したりするなど、神戸滞在を大変満喫されました。講演以外の交流の場でも研究者同士のつながりが深まり、将来的な国際的な共同研究の可能性も模索することができました。



    アーント先生の講演会は科研費「「創られた伝統」の浸透:南アフリカにおける人種隔離政策とズールー語歴史叙述」(科研費番号22KJ1215)、日本アフリカ学会関西支部、およびヴァージニア軍事大学の助成により実現しました。今後もこのような国際的な活動を通じて、甲南大学の学際的な研究環境を一層充実させていければと思っています。