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誰にとっても使いやすいトイレとは? 〜人間科学科のゼミでTOTO株式会社を訪問しました!~
2021年11月04日(木) 文学部新着情報 普段あまり表立って話題にされることはありませんが、誰もが毎日使う当たり前の存在であるトイレ。そんなトイレに、いつも使いづらさを感じている人々がいるとしたら…。最近、性的マイノリティーの方や障がいのある人たちでも使いやすいトイレのあり方をめぐって盛んに議論されているのを知っていますか?
文学部人間科学科での西ゼミでは、2021年度前期の活動として甲南大学におけるトイレ施設の状況を調査し、性や障害にかかわらず、みんなが気持ち良く使えるトイレに近づけていくための方法を話し合いました。さらに、そこで感じたことや疑問に思ったことをもっと広い視点から深めようと、TOTO株式会社さんにご協力いただき、大阪にあるTOTOテクニカルセンターでフィールドワークを実施する機会を設けていただきました。
今回のフィールドワークでは、まず学校や商業施設など公共の場にあるトイレを提案するためのショールームを特別に見学させていただきました。その上で、これまで公共トイレの発案に関わってこられた3人のスタッフの方々がゼミ生からの質問に懇切丁寧に答えてくださり、自由に意見を交わす時間を持つことができました。この質疑応答を通して分かってきたのは「トイレの問題に正解はなく、これからも考え続けていかなくてはならない」ということ。たとえば、トイレを多機能にして多くの人が使用できるようにすれば、車椅子に乗った方やオストメイト設備を使う方など、そのトイレしか使えない人々の利便性とぶつかってしまうことがあります。また、性的マイノリティに配慮してオールジェンダーのトイレを増やしていくことには、防犯等の面でまだ克服すべき課題も残っています。ゼミ生たちは「考えれば考えるほど難しい問題」がたくさんあることに気付かされました。その一方で、スタッフの方々が質問に答えながら他大学におけるジェンダーフリー化の取り組みについて具体的に紹介してくださったり、和式トイレの将来など普段から疑問に感じてきたことに答えてくださったりして、楽しい対話のひとときにもなりました。また今回のフィールドワークには、文学部社会学科でジェンダーを専門にされている関めぐみ先生が参加してくださったことで、さらに充実した考察の機会を持つことができました。
ゼミでは今後に向けて、甲南大学のトイレの掲示がいっそう親しみと配慮の感じられるものになるよう働きかけをおこなっています。
(文学部 教授 西 欣也)