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文学部歴史文化学科「ぶんたすプロジェクト」活動報告~近江八幡巡検~
2020年1月06日(月) 文学部新着情報文学部歴史文化学科基礎演習Ⅱ(1年必修)では、例年先輩のLAやSA数名の協力のもと、受講生全員による野外巡検を実施しています。ひとつの場所を複数のテーマからアプローチし、問題意識をもってレポート作成や口頭発表に結びつける。一人の知恵を皆の知恵に、他者の知恵を自分の知恵に活かすアクティブラーニングの試みです。今年は12月15日(日)に近江八幡市で開催され、学生・教員含めて総勢65名が参加しました。
近江八幡は、鶴翼山(八幡山)の頂上に築かれた豊臣秀次の城が廃城となったのち、琵琶湖に通じる堀割を活かして在郷町として発展した近江商人発祥の地です。まずはロープウエイに乗って、高いところから町並みと琵琶湖を一望し、東へまわって内湖の西ノ湖、干拓地と葭原、安土城跡、観音寺山などを遠くに眺めながら地勢を確認します。再び町におり、今度は歩いて虫の目でじっくり町並みや風景を観察します。
瓦産業の名残りや堀割に面した町づくり、近代に付け加わったヴォーリズ建築などを巡り、途中瓦ミュージアムや歴史民俗資料館、旧伴家・西川家住宅などを見学、当地の歴史文化を実地に学習しました。
事前学習では、地勢班、交通班、産業班に分かれて下調べをしてきましたが、きてみると新たな発見がたくさんありました。
ひとつに近江では、近世初頭より世界を股にかけた商人が輩出されていたこと、蝦夷地との交易にも近江商人が大活躍していることがわかります。近江は淡水の淡(お)海(うみ)(琵琶湖)だけではなく、日本海・太平洋・瀬戸内海と3つの海に通じ、そこから世界に通じていたととらえられます。近世の近江商人から近代の総合商社に発展していった背景が、ここへくると少しずつ見えてくるのです。
神戸で学ぶ私たちは、毎日琵琶湖の水を水道水としてえています。赤瓦のヴォーリズ建築は、阪神間にも、また近江八幡から北東へあがった豊郷町にも見出せます。豊郷町は、甲南学園の創立に尽力された伊藤忠兵衛のふるさとです。
点から線へ、線から面へ、近江八幡に立てば、実地に学びたい場所がまたひとつ新たに見つかりました。(基礎演習Ⅱ 担当代表・出口晶子)