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    社会学科の学生はどんなテーマで卒論を書いているのか(「発展研究E(組織とネットワークII)」の授業から)

    2021年11月08日(月) 文学部新着情報 お知らせの一覧

     今年も11月に入って、そろそろ4年生は卒業論文の執筆に忙しい時期になりました。卒業研究では学生一人ひとりが自分でテーマや手法を選んで研究に取り組んでいます。最近の社会学科の学生はどのようなテーマに関心をもっているのでしょうか。

     文字(テキスト)データを使った分析手法を学んでいる3年次配当の科目「発展研究E(組織とネットワークII)」の先週の授業では、最近3年間(2018~2020年)に提出された300冊ほどの卒業論文のタイトルを記録したデータを使って、社会学科の学生がどのようなテーマで研究をしているのか、どのような言葉が卒業論文のタイトルに使われているのかを集計する実習を行いましたので、その結果を紹介します。

     下の図は、3年分の卒業論文に使われていた言葉について作成したワードクラウドです(注1)。授業を履修している学生からは、「スポーツやSNS、メディア、コミュニティ、観光、アイドル、ファンなどとても幅が広く、研究分野の広い社会学らしさが出ていると感じた」といった感想がきかれました。 


    図1 卒業論文タイトルのワードクラウド


     ワードクラウドでは近年の卒業論文のタイトルにどのような言葉が使われているのかをみましたが、テキスト分析では、どの言葉とどの言葉が近いのか(同じタイトルのなかに使われやすいのか)といったことも分かります。下の図は「共起ネットワーク」と呼ばれるもので、円の大きさはその言葉の出現頻度を、線で結ばれている言葉同士は、同じ卒業論文のタイトルのなかに一緒に使われやすいことを示しています(注2)。


    図2 卒業論文タイトルの共起ネットワーク


     この図について学生からは、「男性」と「育児」が比較的近い距離にあることについて「一見すると女性の方が関わりが強そうなテーマについて、男性に注目して研究する論文がある」という指摘や、「コミュニティ」という言葉が「SNS」というオンラインでのつながりと「神戸」や「大阪」などリアルな地域名の両方とつながっていて言葉の使われ方が幅広いといったコメントがありました。

     この授業を通して、あらためて社会学科で学べること、研究できることの広さを実感してほしいとともに、自分で実際に確かめてみる方法は(アンケートとインタビュー以外にも)いろいろあるということも体験してもらえたらと思います。
                                    (文学部社会学科 教授 星敦士)

    注1 この記事で紹介したワードクラウドは、株式会社ファンブライドのウェブサイト(https://lab.fanbright.jp/)にて公開されている無料サービスを利用して作成しました。
    注2 この図はテキスト型データを分析するためのフリーソフトウェア「KH Coder」を利用して作成しました。