甲南大学リサーチフェスタ 大学生

趣旨
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趣旨(2023年度)

社会の変化

今、社会は目に見えるほどの早さで変化していっています。その社会の中で私たちは、次々に登場する最新の技術やサービスの恩恵を享受し、快適な生活を送れています。今の社会は、そのような技術やサービスを創出し、提供する人材によって支えられているといっても過言ではありません。企業や自治体では、そのような人材を雇用し、育成しており、大学で専門的な知識を学び、身につけ、これから社会へ巣立っていく皆さんは、その場での活躍が期待されています。

その社会に目を向けると、グローバル化や情報技術の進歩に伴って企業における生産拠点の移行や、雇用の増減、商品やサービスの競争の激化、国境を越えた市場の拡大などが急速に進んできました。また、そこで生まれる新たな国や人との接触は、AIやロボット技術、再生医療、宇宙開発などの新しい技術や多様なサービスを生み出しているものの、人種や言語、歴史、宗教、紛争などの問題、政治や経済的な摩擦、環境汚染や災害、異常気象など、これまでには想定さえもしてこなかった新たな問題も生じさせています。

社会人に必要とされる力

このように不透明ながらも発展を遂げていく社会で、皆さんは大学で学んだ専門知識を活用し、未来を予想しながら、常在的、潜在的な課題を見つけ、解決し、新しい価値を創造していく必要があるのです。では、このような社会で活躍する人材とはどのような人でしょうか。経済産業省では、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な力として「社会人基礎力(3つの力と12の能力要素)(下図参照)」を2006年に定義し、提唱してきました。この社会人基礎力は、皆さんが大学で学んだ専門知識を社会で活かすための力と言い換えることができます。社会で活躍できるかどうかは、社会でその力を発揮できるかどうかにかかっているのかもしれません。

本学の学びとリサーチフェスタの位置付け

本学でも、専門知識を学ぶ講義に加え、身につけた知識を活かす力を養うゼミや研究活動、インターンシップを行なっています。そこでは、フィールドワーク、インタビュー、アンケート調査、集計・解析、実験、観察、シンポジウムやワークショップの開催などを通じ、それまでに学んできた知識、教養を活用する経験を積めるような工夫が取り入れられ、「主体性」「働きかけ力」「実行力」「課題発見力」「計画力」「創造力」「発信力」などの能力要素を育成しています。しかし、身につけたそれらの力は、試験を受けて習熟度を評価されず、また、可視化しにくい力でもあるため、皆さん自身もその力が身についたかどうか実感できていないのかもしれません。

学部・学科、研究科、センターでも、身につけた力を実感できる場として、ゼミや卒業論文(修士論文)研究の発表会のような場が用意されています。しかし、社会に出ると、学部・学科、研究科、センターのような同じ考えや背景を持った人たちの前で話すことは少なく、年齢や国籍、考えが違う人たちとも議論し、協同して課題に向き合い、乗り越えていかねばなりません。このリサーチフェスタでは、このような事情を鑑み、皆さんが身につけてきたその力を試し、さらに伸長できる場として、甲南大学の文系、理系を含む8学部4研究科、兵庫県を中心とした近隣の府県の高校生を一堂に会し、年齢や知識、発想が異なる集団で実施するプログラムとしています。ぜひ、これまでの学びを実践する目的として、また、社会に出るために必要な力がどのようなものかを知る機会として、多くの大学生、大学院生の皆さんに参加していただければと考えております。